渡邉 謙一

助教

Kenichi Watanabe

研究テーマ

動物の自然発生疾患を解析し、発症機序を明らかにする。近年では特にアミロイドーシスとウシの神経変性疾患に注目しています。

所属・担当

グローバルアグロメディシン研究センター/獣医学研究部門

研究域獣医学研究部門/基礎獣医学分野/形態学系

動物医療センター/診断検査科

学部(主な担当ユニット)

獣医学ユニット

研究分野 獣医病理学, 実験病理学
キーワード 自然発生疾患, タンパク質, 神経変性疾患, 疾患モデル動物, アミロイドーシス, 病理診断

研究紹介

動物の自然例を用いた研究は、一期一会です。日常的な病理検索の中で興味深い症例に出会った瞬間や、いくつかの症例の中に見えないつながりを発見した瞬間が研究のスタートです。私にとってはそれがアミロイドーシスであり、神経変性疾患です。
アミロイドーシスは体内で産生された異常蛋白が凝集し、線維状のアミロイドとして体内に蓄積する疾患です。アミロイドは特殊な条件下で観察すると、オーロラや鉱石のように緑色に光る、“みえる” 異常蛋白質です。アミロイドーシスは病理学という研究分野が確立された当初に発見されたにもかかわらず、その発症メカニズムは200年ほど経った現在も明らかになっていません。本学にはウシのアミロイドーシス症例が多数集積されており、これらの検体を用いた自然例の解析を行っています。また、複雑な現象を少しずつ紐解くためにアミロイドーシスマウスモデルを作製し、病態解析を行っています。
神経変性疾患は脳を構成する神経細胞やグリア細胞が徐々に傷害され、脱落していく神経疾患で、ヒトではアルツハイマー病やパーキンソン病などに細分類されています。近年、神経変性疾患の原因の一つとして、異常蛋白の蓄積が注目されています。動物にもこれらに相当する疾患がいくつかありますが、疾患として確立されていないような未知の病変も多数存在することから、常にアンテナを張り微細な変化を見逃さないように努めています。
これら2つの疾患に共通する点は、ヒトを含めた様々な動物にも起こりうる疾患であること、病理診断は出来るが有効な治療法がないということ、様々な原因が合わさって起こる多因子疾患であるということです。最近は一般的な病理学的検索手法に加えて遺伝子解析や蛋白解析を試みています。
本研究の最終的なゴールはこれらの難治性疾患の病態解明と、診断・治療法の開発に有用な知見を見出すことです。長い間、病理学者が挑んできた壮大で難解なパズルを解き明かしていく研究であり、個人の力だけでは到達することは困難ですが、獣医学、医学、分子生物学、統計学など様々な分野の研究者との交流を行い、ゴールを目指していきます。
その他にもサイドワークとして実験病理学的研究や感染実験、小動物の腫瘍研究など他の先生との共同研究も実施しています。

現在取り組んでいる研究テーマ一覧

  • 動物の自然発生疾患の病態解析
  • AAアミロイドーシスの新規診断法開発
  • マウスAAアミロイドーシスモデルの発症機序に関する研究
  • 動物のアミロイドーシスの発症機序とアミロイド構成蛋白に関する研究
  • ウシの神経変性疾患と細胞質内凝集物に関する研究
関連産業分野 獣医学, 畜産, 医学
所属学会 日本獣医学会, 日本獣医病理専門家協会, 日本アミロイドーシス学会
学位 獣医学博士
資格 獣医師免許, 獣医病理専門家
自己紹介

埼玉県出身。北の大地に憧れて帯広に来ました。中学から大学までソフトテニスに打ち込んでいました。食べること・体を動かすことが好きで、冬はスキーやスノーボード、夏は登山や釣りを楽しんでいます。子供の頃から細かい作業が好きだったこともあり、顕微鏡を見たり、切片を作ったり、解剖ができる病理の道に進みました。産業動物の症例数が豊富な環境を活かし、大動物の病理学の面白さ・大切さを帯広から世界に向けて発信していきたいと思います。

居室のある建物総合研究棟1号館
部屋番号S1103
メールアドレス knabe atmark obihiro.ac.jp

卒業研究として指導可能なテーマ

  • 動物の自然発生疾患の病態解析
  • AAアミロイドーシスの発症機序に関する研究
  • 疾患モデル動物を用いた実験病理学的研究

メッセージ

病気にはストーリーがあります。私達が顕微鏡で覗いている組織切片は、その一瞬を切り取ったスナップ写真のようなもので、病原体と細胞の攻防、病変形成に至るまでの長い年月など様々な情報が詰まっています。私が学生だった頃、「病理は◯と△の違いがわかれば出来る、実に簡単な学問だ」と言われたことがありますが、入室当初は不思議と同じものを目で追っていても、なかなか変化に気が付きません。最初は教科書との絵合わせから始まり、経験と知識が蓄積していくことで、切片に込められたストーリーが“みえる”様になる感動を皆さんに味わってもらい、もっと病理を身近なものに感じてもらいたいと思います。