大学教育センター
「学生による授業評価の結果」見方と授業改善への指針

学部教育センター・教育改善部
(平成15年5月作成,平成17年5月,11月一部改訂)

「学生による授業評価」の結果は,授業科目,担当教員ごとのフィードバックシートとして,担当教員に配付しています。ここでは,フィードバックシートの見方と,評価結果を参考とした授業改善への指針について解説します。

授業科目名,担当教員等

シートには,まず科目コード,科目名,教員コード,教員名,有効回答数が記載されています。これらの表記はすべて学生が実際に記入した内容に基づいており,学生が誤記した場合にはそのまま集計されます。したがって,有効回答数が実際にその授業に出席し,評価を行った学生数と一致しない場合があります。

問1 授業評価項目の評価結果

授業評価用紙で第1問に並んでいる10個の評価項目についての評価結果です。得点は「あてはまらない」が1点,「あてはまる」が5点の5点満点で集計されています。項目ごとに,全授業を通じた平均値と標準偏差,「この授業の平均値」の順に記載されています。

平均点の標準偏差は,平均値と自分の授業の平均値がどのくらいズレているかを知るヒントになります。たとえば,自分の授業の平均値が全授業の平均値を下回っていても,それが全授業の平均値から標準偏差を引いた値よりも小さくなければ,そのズレはそれほど極端ではありません。逆に,自分の授業の平均値が全授業の平均値±標準偏差の範囲より外側であれば,自分の授業は極端に高くあるいは低く評価されていると考えることができます。

  1. この授業の目標や目的は明確だった
    この項目での評価が全授業の平均値を下回っている場合,授業の目標や目的が明確になっていないか,明確になっていても学生に伝わっていないことが考えられます。授業計画を再確認するとともに,初回の授業でのガイダンスのしかたや,シラバスの内容を見直す必要があります。

  2. この授業の内容は授業科目名と一致していた
    この項目での評価が全授業の平均値を下回っている場合,学生は授業内容が授業科目名と一致していないと感じています。授業科目名と担当者の専門分野や教育志向がずれている場合等だけでなく,「基礎」「入門」等のついた科目名であるのに内容が学生から見て難解すぎる場合や,「応用」等がついているのに基礎的な内容中心である場合にも,この項目での得点は低くなります。授業計画や科目名を見直す必要があります。

  3. この授業の内容は普通の努力で理解できるレベルだった
    この項目での評価が全授業の平均値を下回っている場合,学生は授業内容を難しすぎると思っています。授業計画の見直し,説明方法や資料等の再検討が必要ですし,授業の目標目的からみて現行の難易度自体は正当である場合は,開講年度や他の授業との相互関係の見直し等のカリキュラム変更を検討する必要があります。

  4. この授業の内容はよく整理されていた
    この項目での評価が全授業の平均値を下回っている場合,学生は授業内容が整理されていないと感じています。シラバスを検討して授業の流れや話す順番等を改善したり,板書の内容を再構成したりする必要があります。

  5. この授業の内容に興味や面白みを感じた
    この項目での評価が全授業の平均値を下回っている場合,学生は授業に興味や面白みを感じていません。授業内容が比較的難解な場合には,実例やヴィジュアルな教材等を増やすことが効果がありますし,授業の本題に進む前に授業内容と関連した実話,最近の話題等を織り込むこと(先行オーガナイザー)が役立ちます。また,授業の目標や目的が不明確で,学生がその授業を受けることに価値や意欲をおけない場合にも,この項目での評価は低くなります。

  6. この授業の開始時間,終了時間は適切だっ
    この項目での評価が全授業の平均値を下回っている場合,教員が遅れてくる,授業時間が終わっても授業を続けている,といったことに学生が不満を持っています。授業は遅くとも開始時間より10分以内に開始し,終了時間前に必ず終了してください。とくに実習,演習等の場合,授業の終了時間は学生の後片付けの時間等も配慮しないと,次の授業に影響が出ます。

  7. この授業はテキストや配布資料等の教材を有効に使っていた
    この項目での評価が全授業の平均値を下回っている場合,テキストが必要と学生が感じるような授業内容であるのにテキストを用いていない,テキストを指定しても授業で活用していない,配付資料の数や量が学生が必要と感じるより少ない,資料を配っても授業で活用していない,といったことに学生が不満を持っている可能性があります。

  8. 教員の説明は聞きやすく,よく理解できた
    この項目での評価が全授業の平均値を下回っている場合,教員の説明がよく聞き取れない,聞き取れても理解しにくいことに学生が不満を感じている可能性があります。マイクが利用できる教室では必ずマイクを使用するとともに,授業で話す内容を少なくともメモ程度には構成してから授業に臨むこと等で,評価が改善できます。

  9. 教員の板書やプレゼンテーション(スライド)は見やすかった
    この項目での評価が全授業の平均値を下回っている場合,板書の改善を検討してください。実際には,学生からの不満は字が汚いことではなく「字が小さいこと」「すぐに消すこと」に集中しています。黒板をできるだけ広く使って,字を大きく書くとともに,書いてから消すまでの時間をできるだけ長くしてください。またプレゼンテーションについては,スライドの進行が早すぎてノートが取れない,スライド一枚あたりの字数が多すぎ,字が小さくて読めないといったことが学生の不満につながっていることもあります。

    板書やプレゼンテーションの改善については以下のページをご覧ください。

    授業における板書・プレゼンテーションの留意点

  10. 教員は授業の準備を十分にしていた
    この項目での評価が全授業の平均値を下回っている場合,授業の準備が実際に不十分であるか,十分準備していてもそれが学生に伝わっていない可能性があります。資料の配付や課題の提示等の段取りを授業前にきちんとするとともに,授業中に提示する必要のある文献や先行研究のリストは授業開始前に確認しておきましょう。

問2 授業全体の評価

授業評価用紙の第2問,「この授業を10段階で評価してください」の集計結果です。点数が10点に近いほど,授業全体に対する学生からの評価が高いことになります。シートには,調査対象となった授業全体における評価の平均値と標準偏差,この授業の平均と履修者間の標準偏差が集計されています。

自分の授業の平均が全ての授業の平均±標準偏差の範囲を超えている場合には,自分の授業の評価が平均より極端に高い,または低いと考えることができます。「履修者間の標準偏差」は,評価のバラツキの目安とすることができます。自分の授業の履修者間の標準偏差が「授業間の平均」よりも著しく大きい場合,自分の授業に対する学生の評価が他の授業に比べて割れている(学生による個人差が大きい)と考えることができます。

授業全体の評価が平均より低い場合,その原因は問1の10項目の平均値を検討することで推測できる場合がほとんどです。問1の項目はすべて問2の評価点と相関をもっており,授業全体の評価は個々の側面の評価と深く結びついているからです。したがって,授業全体の評価が低い場合には,問1の10項目で低い評価を受けた部分を中心に授業改善を行うことで,全体の評価を改善することができます。