大学教育センター学生による授業評価の考え

学生による授業評価は「授業の内容」を評価するものではありません。「授業の内容が学生にきちんと伝わるための前提となる要素」がどの程度達成されているかを評価するものです。

授業を一冊の本にたとえてみましょう。その本では…..

  • 本のタイトルと本に書かれた内容は一致していますか?
  • 数巻にわたる本なら,各巻の順番は正しいですか?
  • 内容をきちんと反映した目次がついていますか?
  • 伝えたい内容から見て本文の分量に過不足はないですか?
  • 日本人に読ませるなら日本語で,小学生に読ませるならやさしい漢字で書かれていますか?
  • 内容の理解に必要な図や表が適切な場所に挿入されていますか?
  • 共著の本なら,著者ごとの文体や内容に不一致はありませんか?
  • 印刷は鮮明で,苦心しないで文字や図表が読み取れますか?
  • 落丁や乱丁はありませんか?

どんなによい内容の本でも,こうした条件が満たされていなければ,伝えたい内容は読者に伝わりにくくなります。授業でも同様です。

大学の授業では「何をどう教えるか」は担当する教員の幅広い裁量に任せられるべきものです。しかし,どんな内容の授業であっても,授業内容を学生にきちんと伝えるための最低限の物理的・社会的条件は整えられていなければなりません。

学生による授業評価は個々の授業でそうした最低限の条件が達成されているかを学生の目からチェックし,その結果を各教員の授業改善への努力に役立てるために行われています。