学長メッセージ

知の創造と実践によって実学の学風を発展させ,
「食を支え,くらしを守る」人材の育成を通じて,
地域及び国際社会へ貢献する。

帯広畜産大学長 長澤秀行

本学の前身である帯広高等獣医学校は、今から81年前の1941年に、地域の多大な支援を得て設立されました。その後、1949年に新制大学として帯広畜産大学が設置され、1960年には、地域農業の中核的リーダーを養成することを目的とした別科(草地畜産専修、現在の酪農専修)、1967年には、獣医・農畜産分野における高度専門職業人養成を目的として、大学院畜産学研究科修士課程、2004年には、「食の安全確保に関わる人材育成」を目的として、大学院修士課程に畜産衛生学専攻が新設され、その2年後に、我が国で唯一、畜産衛生学の博士の学位を授与する大学院博士課程が設置されました。今日、「農と食」に関わる問題は複雑に絡みあい、さまざまな課題を抱えています。これらの農学分野が直面する課題解決のためには、獣医・農畜産融合の教育研究体制の構築が必要となりますので、これまで畜産衛生学分野のみであった博士課程は、大学院畜産学研究科となり、獣医・農畜産のすべての分野で学部から博士課程までの一貫体制となっています。

十勝平野に位置する本学の西には日高山脈、北には大雪山系があり、それらの裾野は十勝川に沿って太平洋沿岸まで南へ広がっています。地平線を望むことのできる広大な十勝平野と太平洋沿岸の豊かな漁場を有するこの雄大な自然環境は、北海道の中でも特に素晴らしいものです。同時に、この自然環境と大陸的な気候は、十勝の基幹産業である畜産、酪農、畑作にも大きく寄与すると同時に、本学の教育研究を進める上で、大きな強みとなっています。

日本の食料生産の中心地として、「生産から消費まで」一貫した環境が揃う十勝に位置する本学は、生命、食料、環境をテーマに、農学、畜産科学、獣医学に関する教育研究を推進する、我が国唯一の国立大学です。本学のミッションは、「知の創造と実践によって実学の学風を発展させ、『食を支え、くらしを守る』人材の育成を通じて、地域及び国際社会に貢献すること。」です。

そして、本年4月1日に、帯広畜産大学、小樽商科大学、北見工業大学の3大学経営統合による国立大学法人北海道国立大学機構が発足しました。本機構は農学、商学、工学を担う国立大学の結束と産学官金の強力な連携により、北海道経済・産業の発展と国際社会の繁栄並びに、SDGsに示された持続可能な社会の実現に貢献するために、北海道内国立大学の教育研究機能を強化し、国民の要請に応えるとともに、我が国の高等教育及び学術研究の水準向上を図るのを目標としています。

地域には多くの試験研究機関や農業・食品・動物関連企業が集積しています。さらに、動物衛生や食品安全を担う国際機関、途上国に対する国際協力機関等とも連携し、社会の要請に即した農学系人材「グローバル人材」を輩出するため、以下の4つのビジョンを掲げ,実践しています。

欧米水準の教育課程の構築

共同獣医学課程において国際通用力を有する獣医師を養成するため、欧州獣医学教育認証を取得し、欧州レベルの高度な獣医学教育を提供しています。動物や食品の流通が盛んなグローバル化社会において、特に重要な資格となります。

世界トップレベル大学等との国際共同研究及び教育交流

米国コーネル大学、米国ウィスコンシン大学との学術交流協定に基づき、招へい講義・サマープログラムの実施や、世界トップクラス大学に大学院生を派遣し国際共同研究への参画を推進しています。また、獣医・農畜産分野の世界レベルの研究実績による国際研究協力を強化し、研究水準の向上と関連分野の発展に貢献しています。

国際安全衛生基準適応の実習環境による人材育成

国際安全衛生基準の取得・維持に対応できる人材を育成するため、大学院畜産科学専攻博士後期課程の畜産衛生学位プログラムにおいて、国際基準適応の施設を活用した食品安全マネジメント教育プログラムを実施し、HACCP専門家資格を付与しています。

企業等社会のニーズに即した共同研究・人材育成

大学院畜産学研究科において、企業との共同研究等に基づく研究テーマを増やし、企業等の課題解決能力の高い人材育成を進めています。多様な社会変化に対応可能な人材輩出は、大学の使命です。