学長メッセージ

知の創造と実践によって実学の学風を発展させ,
「食を支え,くらしを守る」人材の育成を通じて,
地域及び国際社会へ貢献する。

帯広畜産大学長 長澤秀行

本学の前身である帯広高等獣医学校は,1941年に,地域の多大な支援を得て設立されました。その後,1949年に新制大学として帯広畜産大学が設置され,教育研究機能を着実に強化しながら北海道農業の発展と共に歩んできました。これまでに送り出した卒業生・修了生は帯広高等獣医学校時代から数えて約1万8千人となり,多くのOB・OGと地域の皆様方に支えられて今日を迎えております。

十勝平野に位置する本学の西には日高山脈,北には大雪山系があり,それらの裾野は十勝川に沿って太平洋沿岸まで南へ広がっています。地平線を望むことのできる広大な十勝平野と太平洋沿岸の豊かな漁場を有するこの雄大な自然環境は,北海道の中でも特に素晴らしいものです。同時に,この自然環境と大陸的な気候は,十勝の基幹産業である畜産,酪農,畑作にも大きく寄与すると同時に,本学の教育研究を進める上で,大きな強みとなっています。

日本の食料生産の中心地として,「生産から消費まで」一貫した環境が揃う十勝に位置する本学は,生命,食料,環境をテーマに,農学,畜産科学,獣医学に関する教育研究を推進する,我が国唯一の国立大学です。本学のミッションは,「知の創造と実践によって実学の学風を発展させ,『食を支え,くらしを守る』人材の育成を通じて,地域及び国際社会に貢献すること。」です。

そして,2022年4月1日に,帯広畜産大学,小樽商科大学,北見工業大学の3大学経営統合による国立大学法人北海道国立大学機構が発足しました。本機構は農学,商学,工学を担う国立大学の結束と産学官金の強力な連携により,北海道経済・産業の発展と国際社会の繁栄に貢献することを目標としています。

農業活動によって生み出される食料は,人類の生命維持はもとより健康で充実した生活の根幹を支えるものです。また,あらゆる地球規模課題に農業は深く関わっています。気候変動,大規模災害,新興感染症,国際紛争等の脅威が拡大している現代社会において,「食と農」を取り巻く環境は大きく変化しつつあり,農学分野が解決すべき課題は一層複雑化・多様化しています。

本学は北海道国立大学機構の一員として,異分野融合の取組を三大学で協力して推進するとともに,地域,産業界,関係機関等と協働で社会の変化に対応した教育研究活動を推進し,新たな時代を担う農学系人材を育成します。