病気そのもの

病理学は病気の理(ことわり)を紐解く分野であり,全ての病気そのものが研究対象です。病気の原因というと,細菌やウイルスが最初に連想されるかもしれませんが,栄養不良,遺伝子変異,中毒,腫瘍等多種多様な要因が組み合わさって病気は起こります。技術の進歩に伴い,画像診断や血液検査から,様々な事がわかるようになりました。しかしながら未知の病気に出会った時,死因を明らかにしたい時に,病理解剖によって病気の原因を見極めることでどんな先端機器を用いた検索よりも多くの情報を得ることが出来ます。肉眼(マクロ)から顕微鏡サイズ(ミクロ)に至るまで,病気によって起こる目に”みえる”変化を捉え,写真におさめながら病気の背景に潜んでいるメカニズムや特徴を総合的に明らかにすることで,各分野の専門家に問題解決の糸口を提唱することが病理の役目です。

ひとつひとつの命に向き合う臨床獣医師や,一つの研究テーマに対し最先端の技術で挑む科学者とは違った分野ですが,常に病気に関する深くて広い知識が求められる,欲張りでやりがいのある研究分野です。

この文を書いた人 渡邉 謙一 准教授
所属 グローバルアグロメディシン研究センター/獣医学研究部門研究域/獣医学研究部門/基礎獣医学分野/形態学系動物医療センター/診断検査科
関連リンク 獣医病理学研究室