岡村 雅史 教授 OKAMURA Masashi

My Dream家畜・家禽の疾病制御で世界の食の安全確保・安定供給に貢献する

研究テーマ1)鶏群・鶏肉・鶏卵の食中毒菌汚染の制御
2)病原体の宿主特異的感染メカニズムの解明

研究分野

微生物学, 家禽疾病学, 食品衛生学, 人獣共通感染症学

キーワード

サルモネラ, 鶏, カンピロバクター, 食中毒, 人獣共通感染症

卒業研究として指導可能なテーマ

鶏群・鶏肉の食中毒起因菌汚染低減対策の確立
家禽チフス菌の病原メカニズムの解明

メッセージ

私は、いわゆる「町の獣医さん」を目指して獣医大学に入学しましたが、入学後に獣医師の職域の広さに驚かされました。結果的に私は臨床獣医師ではなく、病原細菌や動物の感染症に関する研究・教育に携わる大学教員として現在に至っています。
国家試験までは、知識を蓄積し、解答のある問題を解くことが中心ですが、獣医師になってからはどの職業を選んでも「自分で問題を見つけて自分なりの答えを導き出す」ことが必要になります。知識も知恵も必要ですが、それに基づいて自分で考えることがより重要です。このリサーチマインドを養うためにも、私とともに研究を楽しみませんか?そして食の安全確保と安定供給に貢献しましょう!

学位 博士(獣医学)
資格 獣医師
自己紹介

大阪府出身ですが、人生の半分近くを青森県十和田市で過ごし、このたび縁あって16年ぶりに帯広に戻ってきました。
これまで、主に鶏のサルモネラ症に関する研究を行ってきました。帯広ではこれを継続しつつ、新たな研究にも挑戦したいと思っています。
趣味は筋トレ(現在コロナを言い訳に休憩中)と読書ですが、十和田では実益も兼ねて薪割りやDIYもやっていました。イタリアのワインで安いのに美味しいものに当たるととても幸せになれます。

居室のある建物総合研究棟Ⅰ号館
部屋番号S2102-1
メールアドレス okamuram atmark obihiro.ac.jp

所属・担当

研究域獣医学研究部門/基礎獣医学分野/応用獣医学系獣医学教育国際認証推進室/スタッフ
学部(主な担当ユニット)獣医学ユニット
大学院(主な担当専攻・コース)獣医学専攻

研究紹介

1. 鶏群・鶏肉の食中毒起因菌汚染低減対策の確立
汚染鶏肉を原因とする食中毒は増加の一途を辿っています。その主な原因菌はサルモネラとカンピロバクターです。喫食前に十分な加熱調理を行っていれば、基本的に食中毒は防止できます。近年の食中毒増加について、地域的な食文化としての「鶏の生食」などが、当該地域で実施されている厳しい衛生基準を置き去りにして他の地域にも広がってしまったことが原因と私は考えています。そこで、消費段階、食鳥処理段階、さらには農場での生産段階にまで遡り、鶏群の食中毒菌汚染の低減に向けた対策の確立に向けて、我々は農場と食鳥処理場において鶏群と鶏肉の汚染状況の調査を行ってきました。今後はその汚染経路の解明が課題です。

2. 家禽チフス菌の病原メカニズムと宿主特異性
サルモネラ属菌はその菌体と鞭毛の抗原の組み合わせにより2700種類に上る血清型に分類され、病原性を示す血清型の多くは様々な動物に下痢をはじめとする消化器症状(ヒトでは食中毒)を引き起こします。一方で、10種類に満たないわずかな血清型だけが特定の動物にのみ敗血症を引き起こし、死に至らしめます。しかし、次世代シーケンス等に基づく発現解析が身近になった現在も、この強い宿主特異的な病原性をもたらすメカニズムはまだ明らかにされていません。そこで我々は、「in vivo-induced antigen technology」を用いて、鳥類を宿主とする家禽チフス菌(Salmonella enterica血清型Gallinarum)が感染鶏体内で発現する50種類の抗原を同定し、これらの抗原をコードする遺伝子を欠失させた変異株の鶏における表現型(病原性の低下)を指標に、家禽チフスの発症や菌の病原性に重要と考えられる遺伝子を絞り込みました。これらがどのように家禽チフス発症に関わっているのか、そして鳥類にだけ強い病原性と致死性を示すメカニズムに関わっているのかを明らかにしようとしています。

これら2つのテーマを通じて、食の安全確保と食の安定供給に貢献することを目指しています。

家禽チフスを発症した鶏:羽毛逆立、嗜眠、無反応といった症状を示す
家禽チフスを発症した鶏:肝臓にびまん性の白色壊死巣が見られる

現在取り組んでいる研究テーマ一覧

鶏群・鶏肉の食中毒起因菌汚染低減対策の確立
家禽チフス菌の病原メカニズムの解明
ひな白痢菌の垂直感染メカニズムの解明

関連産業分野 養鶏産業, 動物衛生・公衆衛生, 動物用医薬品(ワクチンなど), 食の安全
所属学会 日本獣医学会, 鶏病研究会, 日本細菌学会, 日本食品微生物学会, 獣医疫学会, 日本野生動物医学会
学歴・職歴 1998年 3月 北里大学獣医畜産学部獣医学科 卒業
2002年 3月 大阪府立大学大学院農学生命科学研究科博士課程 修了
2001年 3月-2002年 3月 米国農務省Beltsville農学研究センター 客員研究員
2002年 4月-2002年11月 米国農務省Beltsville農学研究センター 博士研究員
2002年12月-2004年12月 帯広畜産大学原虫病研究センター 研究機関研究員
2005年 1月-2020年12月 北里大学獣医学部 助手、講師、准教授
2021年 1月- 現職