サルモネラ

サルモネラ属菌は、食中毒起因菌としてよく知られています。この菌が付着した肉や卵、野菜を生のまま、あるいは加熱不十分なまま食べることで、腹痛や下痢などを起こしてしまいます。免疫の弱い子供やお年寄りでは重症化することもありますが、一般的な成人であれば自然治癒します。一方、同じサルモネラ属菌の中には、全身に菌がまわる菌血症、さらには全身臓器の機能不全に至る敗血症を引き起こすものが存在します。この病原性の違いは何によってもたらされるのでしょうか?サルモネラ属菌は2700種類に分類されますが、そのゲノム情報の90%以上は共通であることがわかっています。では、残りの数%がこのような病原性の違いを生み出すのでしょうか?ゲノム解析技術がどんどん発展している現在においても、その原因は明らかになっていません。おそらくさまざまな遺伝子あるいはその産物が複雑に関わり合って、病原性の違いが現れるのでしょう。いつかそのカラクリを明らかにしたいと考えています。

この文を書いた人 岡村 雅史 教授
所属 研究域/獣医学研究部門/基礎獣医学分野/応用獣医学系