吉田 智彦 准教授 YOSHIDA Tomohiko

研究テーマ超音波診断装置および血液バイオマーカーを用いた循環疾患や腫瘍疾患の病態評価および早期診断法の確立

所属・担当

研究域獣医学研究部門/臨床獣医学分野/伴侶動物獣医療学系動物医療センター/伴侶動物診療科
学部(主な担当ユニット)獣医学ユニット
大学院(主な担当専攻・コース)獣医学専攻
研究分野 循環器学, 腫瘍学, 獣医内科学, 獣医外科学
キーワード 心臓病, 肺高血圧症, 右心疾患, 右室機能, 心臓超音波検査, 心臓腫瘍, 血管肉腫, バイオマーカー, エンドセリン-1

研究紹介

 近年、愛玩動物の高齢化とともに循環器疾患や腫瘍疾患が診断される機会が多くなりました。しかし、人とは異なり動物は言葉を交わすことができないため、診断の遅れや正しい病態評価を行うことが困難です。そのため当研究室では、超音波診断装置や血液バイオマーカーを用いて、循環疾患や腫瘍疾患の正確な病態評価および早期診断を行うことを目標にしています。  現在取り組んでいる研究テーマとして、循環器疾患では、肺高血圧症という病気に焦点をあて研究を進めています。肺高血圧症は、様々な原因によって肺動脈圧が上昇する病態です。肺高血圧症は、病態評価や治療効果判定が難しく、統一した評価方法がないのが現状です。そこで、新たな血流解析法を用いて、肺高血圧症の病態を評価しています。また肺高血圧症だけではなく、様々な循環器疾患の病態や治療に関する研究を行っています。さらに、小動物だけではなく生産動物の心臓機能を超音波検査によって解析し、心疾患の病態解明や心臓運動機能に種差があるのか調査しています。
 腫瘍疾患における研究テーマとして、血管肉腫に焦点をあて研究を行っています。血管肉腫は、血管内皮細胞由来の腫瘍で悪性腫瘍の中でも極めて挙動の悪い腫瘍です。発見時には、転移している事が多く早期発見が生命予後に大きく関与します。当研究室では、血液バイオマーカーによる腫瘍の早期発見をテーマとして、企業や他の研究室と共同で研究を進めています。

心臓超音波検査による肺動脈血行動態解析
カテーテル検査による血行動態解析
ELISAによる血液バイオマーカーの測定

現在取り組んでいる研究テーマ一覧

  • 肺高血圧症における病態評価法の確立
  • 右室機能評価に関連する研究
  • 生産動物の心臓超音波検査による血行動態解析
  • 犬の循環器疾患におけるインターベンション治療に関連した研究
  • 犬猫の腫瘍マーカーに関連した研究
  • 犬猫の抗がん剤治療のプロトコールに関連した研究
関連産業分野 医学, 獣医学, 生理学
所属学会 日本獣医循環器学会, 日本獣医がん学会, 日本獣医麻酔外科学会, 動物臨床医学会, 日本循環器学会
学位 博士(獣医学)
資格 獣医師, 日本獣医循環器認定医
自己紹介

鹿児島県出身です。実家に帰省したときは釣りを楽しんでいます。幼少期は野原を駆け巡り、陸上や水泳をやる運動少年でしたが、今は、診察とディスクワークで肩や腰を痛めています。これまで主に循環器や腫瘍疾患の病態評価法および治療に関する研究を行ってきました。人と同じように犬や猫でも、がんや心臓病が診断される機会が多くなりました。少しでも満足して動物が長生きできるように努めていきたいと思います

居室のある建物伴侶動物研究棟
メールアドレス ytomohiko atmark obihiro.ac.jp

卒業研究として指導可能なテーマ

  • 伴侶動物の心臓病に関連した研究
  • 伴侶動物のカテーテル治療に関連した研究
  • 生産動物(ヤギを中心)の心臓機能解析に関する研究
  • 腫瘍の血液バイオマーカーに関する研究
  • 抗がん剤の治療プロトコールに関連した研究

メッセージ

 最初は、わからないことが多いと思います。教科書で学んだ事と現場では多くのことが異なります。しかし、刺激があって学ぶ意欲が増します。循環器学や腫瘍学は、複雑で必要とする基礎知識量が多いため、嫌われることが多いです。しかし、実際の臨床現場を多く体験することで、診察で得た知識が繋り、大きなものとなります。また、採血や超音波検査手技などを学び、実際に技術的なことを習得することによって、さらに学習意欲がわきます。そして、卒業後も⽣涯学び続けることが重要で、かつ楽しいといった考え方を学生が持ってくれるかどうかが、大学教育が成功した証だと考えています。少しでも小動物臨床の魅力をお伝えできることができればと思っているので、興味があれば見学にいらしてください。