テイライアンパラム シヴァクマール 准教授 Thillaiampalam Sivakumar

研究テーマ診断・監視・薬剤開発による牛・馬ピロプラズマ症の制御

所属・担当

原虫病研究センター診断治療研究部門/高度診断学分野グローバルアグロメディシン研究センター/獣医学研究部門
学部(主な担当ユニット)獣医学ユニット
大学院(主な担当専攻・コース)獣医学専攻
研究分野 獣医学, 原虫病学, 疫学
キーワード ピロプラズマ症, バベシア, タイレリア, 牛, 馬, 監視, 臨床, 疾病制御, 世界獣疫機関(WOAH)

研究紹介

私の研究は、牛や馬に重度の貧血や発熱、生産性の低下を引き起こす原虫性疾患「ピロプラズマ症」を対象としています。主な原因はマダニによって媒介されるバベシア属およびタイレリア属の原虫であり、畜産業に深刻な経済的損失をもたらしています。帯広畜産大学・原虫病研究センターでは、これらの原虫の遺伝的多様性、進化、分布を解析し、感染の疫学的特徴や臨床的意義を明らかにする研究を行っています。

近年の研究では、新たなダニ媒介性原虫である Babesia naoakii および Theileria sp. Yokoyama を発見し、これらが牛に重度の臨床症状を引き起こすことを明らかにしました。これらの成果は、家畜の健康を脅かす新興病原体を早期に発見するための分子疫学的監視の重要性を示しています。

私たちの研究室では、分子診断、フィールドでのサーベイランス、原虫培養系を組み合わせ、原虫の遺伝子型、宿主種、臨床症状の関連性を総合的に解析しています。さらに、安全で効果的な治療法の確立を目指し、牛タイレリア症に対する新規薬剤候補の探索と評価にも取り組んでいます。

世界獣疫機関(WOAH)との連携を通じて、動物ピロプラズマ症の国際的制御に貢献しています。診断、監視、創薬のアプローチを統合することで、持続可能な畜産と動物の健康増進に寄与できる実践的な対策の確立を目指します。

牛バベシア症の臨床調査を現地で実施している様子です。
Babesia naoakii の感染によって引き起こされた初の牛バベシア症臨床例で、感染牛の赤血球内に原虫が観察されます。

現在取り組んでいる研究テーマ一覧

  • 牛および馬のピロプラズマ症の国際的監視
  • 牛と馬に感染するバベシア属およびタイレリア属原虫の臨床的意義の解明
  • 馬ピロプラズマ症の診断法の改良・開発
  • 牛・馬ピロプラズマ症に対する治療薬の開発
関連産業分野 畜産, 国際馬取引, 動物用医薬品, 臨床獣医学
所属学会 日本獣医学会
WOAHリファレンスラボラトリーとして、診断用資材の作製・供給などを通じて国際社会に貢献しています。本写真は、馬ピロプラズマ症診断用IFATスライドを作製している様子です。
学位 博士(畜産衛生学)
資格 獣医師
自己紹介

私はスリランカのジャフナ半島の出身です。高校卒業後、ペラデニヤ大学獣医学部に進学し、獣医師として卒業しました。2007年にJICA研修員として帯広畜産大学原虫病研究センターを初めて訪れ、同センターで行われている先端的な研究に強く感銘を受けました。その後、博士課程の学生として再来日し、学位取得後も同センターで研究活動を続けてきました。
私の研究テーマは、牛や馬のピロプラズマ症を引き起こす原虫の進化、疫学的特徴、遺伝的多様性、そして臨床的意義の解明に関するものです。

居室のある建物原虫病研究センター
部屋番号101
メールアドレス siva atmark obihiro.ac.jp

卒業研究として指導可能なテーマ

  • 牛および馬のピロプラズマ症に対する治療薬の開発
  • 牛および馬に感染するバベシア・タイレリア原虫の世界的監視
  • バベシアもしくはタイレリアに感染した牛や馬の臨床的影響の解析
  • 動物原虫病の診断法の開発と活用

メッセージ

私たちの研究室では、実験室での発見を畜産や臨床の現場に役立てることを大切にしています。学生の皆さんには、研究の楽しさを体感しながら、獣医師として感染症を制御する力を身につけ、将来現場で活躍できる力を育んでほしいです。研究や臨床に挑戦したい学生を歓迎します。