中島 直久 助教 NAKASHIMA Naohisa

研究テーマ農業・農村活動とそこに住む生き物たちの関係を明らかにする

所属・担当

研究域環境農学研究部門/農業環境工学分野/農業環境工学系
学部(主な担当ユニット)農業環境工学ユニット
大学院(主な担当専攻・コース)畜産科学専攻農業環境工学コース
研究分野 生態工学, リモートセンシング, 灌漑利水学, 水文学
キーワード 両生爬虫類, 鳥類, 水田生態系, 畑地灌漑, 画像解析

研究紹介

島嶼の生態系は世界的にも生物多様性のホットスポットとして知られています。当然、日本もその島嶼の一つであり、日本にしか生息していない固有種の多さはアメリカやヨーロッパ大陸をしのぐ程です(両生爬虫類などで)。
その豊かな日本の生態系を支えているのは、豊葦原の瑞穂、つまり先達が作り守ってきた農村・農地環境です。原生自然ではなく、人の手が加わることで豊穣な生態系を作り出し、そこに人間の営利活動と動植物生存の均衡が存在しました。
しかし、戦後のエネルギー革命と少子高齢化によって農村社会そのものが疲弊し、それと同時に生物多様性も急速に失われています。疲弊する農村社会へのカンフル剤として投入されるインフラ投資がさらに生物生息環境を劣化させるという悪循環に陥り、かつて共存していた人間と動植物が敵対関係になってしまいまいた。
農村社会を中心にそこで生きている生物の実態を明らかにし、もう一度我々と共存できる道を探る研究を実施していきます。

水田地帯で繁殖するトウキョウダルマガエルの越冬個体。越冬中は水田ではなく畑地を好んで選んでいることを明らかにした。
稲の生長調査。農業における人間の攪拌が生物生息地に及ぼす影響を生態系の中に組み込む必要がある。
帯広・十勝平野のような広大な農地を有する地域では、UAVや衛星画像を利用したリモートセンシング技術が環境把握に非常に有効になる。

現在取り組んでいる研究テーマ一覧

  • 人工湿地におけるエゾサンショウウオの繁殖実態
  • エゾモモンガの人工コリドーにおける保全効果の検証
  • 江戸期~現代における全国の魚類相分布の再現
  • 「田んぼの生き物調査」が地域に与える影響に関する研究
  • 北海道国内外来種のトウキョウダルマガエルの生態研究
  • UAVを使用した災害後の植生回復状況のリアルタイム把握
所属学会 農業農村工学会, 応用生態工学会, 日本生態学会
学位 博士(農学)
資格 技術士補, 測量士補
自己紹介

福岡出身です。多くはエンジニアリング系の研究や仕事に従事していきましたが、学位をとったのは生態工学に関する論文です。農業土木技術にかかわりながら、水田や農村社会に生息する生き物たちを追いかけて研究しています。

居室のある建物総合研究棟I号館
部屋番号N1302-6
メールアドレス nnakashima atmark obihiro.ac.jp

卒業研究として指導可能なテーマ

  • 生物種の標識再捕獲法による生活史の解明
  • 景観要素と微環境を組み合わせた生息適地分布モデリング
  • UAVや衛星画像を用いた環境要因の解析

メッセージ

まだ今年(2021年)の5月に着任したばかりで、ここ帯広で何ができるか模索中です。学生さんからも面白い研究テーマがあればどしどし提案してください。
また生き物のフィールド調査は体力・精神共にとてもしんどいものです。学生同士の協力が必要不可欠になります。さらにフィールド調査だけではなく、多くの文献を読んだり、データ解析を延々としたりと机上作業も多くこなさなければ動物研究は「ただの趣味」になってしまいます。両方できる器用な人はそんなにいませんが、両立を目指す意欲は必要です。
私の研究室では宗岡教授と木村准教授の3人体制で学生指導に当たっています。一つの研究室に引きこもらず、幅広い知見に触れてください。