カエル

古池や蛙飛び込む水の音(松尾芭蕉)
日本人なら誰でも知っている一番有名といってもいい俳諧ですね。
いまや日本が世界に誇る文化、漫画。実はその萌芽は千年以上前にさかのぼります。国宝、鳥獣人物戯画(鳥羽僧正覚猷の筆と考えられるが確証はない。高山寺HPより)。この絵巻の中には様々な動物が登場しますが、その中心人物の一人はカエルです。
日本人は長い間、カエルを身近な自然の代表とみなしてきたことが伝わります。いまでも農村にいけばカエルの大合唱は風物詩です。
そのカエルすら、いまや絶滅の危機に直面しています。
それがどれほどの衝撃か。どれほど我々が自然環境に負荷を与えているか、カエルたちが身をもって伝えてくれているのではないでしょうか。
たかがカエル、されどカエル。カエルはひとつの生物種にすぎません。しかし、その背後には日本という風土が培ってきた人間と生き物の共存関係、システムの働きを見て取れるのです。

この文を書いた人 中島 直久 助教
所属 研究域/環境農学研究部門/農業環境工学分野/農業環境工学系