9月13日(水)から15日(金)まで鹿児島大学で開催された第160回日本獣医学会学術集会の日本獣医寄生虫分科会で,原虫病研究センター所属で日本学術振興会外国人特別研究員のOluyomi Stephen Adeyemiさん(ナイジェリア連邦共和国)が,第8回日本獣医寄生虫学奨励賞を受賞しました。本奨励賞は獣医寄生虫学の進歩に寄与する優れた成果を挙げ,将来の発展が期待される若手研究者に授与されるものです。
受賞研究課題は「Exploring amino acid modification of nanoparticle surface for selective anti-parasite action and enhanced biocompatibility」です。トキソプラズマ症は世界人口の三分の一近くが感染しているとされる原虫感染症であり,免疫不全患者や妊婦の初感染で胎児に症状を引き起こすことがあります。Oluyomiさんは,金属ナノ粒子が宿主細胞に毒性を示さず,トキソプラズマの増殖を特異的に抑えることを明らかにし,その効果は金属ナノ粒子にアミノ酸被覆することで増大することを見出しました。さらに,この抗原虫作用の発現メカニズムについて解析を行いました。これらの研究成果は,原虫感染症に対する新しい治療法や予防策の開発につながります。