第19回アジア太平洋州畜産学会大会(8月23日(火)~26日(金):韓国 済州島)において,大学院博士後期課程畜産科学専攻1年の石田恵香(さとか)さん(指導教員:萩谷功一准教授)がTravel Grant Awardを受賞しました。本賞は,開催国以外の遠方からエントリーした発表者の中から,特に優れた研究を実施している若手研究者に対して,審査を経て授与される賞です。
石田さんは,「メッシュ農業気象データを用いた日本のホルスタイン雌牛の暑熱ストレス耐性の遺伝率推定」という発表演題で,日本全国のホルスタイン雌牛約100万頭に対し,「メッシュ農業気象データ」を応用してより詳細な気象情報にもとづいて暑熱ストレス耐性を検出し,それを遺伝的改良への応用できることを示した研究成果を発表しました。
暑熱に弱いホルスタイン種が地球温暖化による猛暑を乗り越えるため,毎月の泌乳記録と気象記録を照合して乳牛個々の暑熱ストレス耐性を検出し,その情報をもとにして遺伝的に暑熱に強い乳牛へと改良するための研究に取り組んでおり,その研究成果に基づき,2021年8月から独立行政法人家畜改良センターより人工授精に使用するための種雄牛個々の暑熱ストレス耐性に関する遺伝的能力が公表されています。メッシュ農業気象データは,気象情報が農業現場で有効に活用されることを目指して,国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が開発・運用する最新の気象データサービスです。石田さんの研究は暑熱ストレス耐性に関する遺伝的能力の推定精度向上のために最新の気象データを応用できる可能性を示しました。
石田さんは,「今回,このような名誉な賞をいただくにあたって,ご指導していただいた先生方や研究室のメンバー,さらに,賞へのエントリーについて推薦していただいた日本畜産学会関係者様の皆様に深く感謝いたします。」と受賞の喜びを語りました。