5月22日(火)から25日(金)まで沖縄県市町村自治会館で開催された第27回環境化学討論会において,畜産科学専攻博士前期課程(動物医科学コース)1年のJae Seung Leeさんが,優秀発表賞を受賞しました。
本討論会を主催する一般社団法人日本環境化学会は,環境と化学物質に関わる学問分野の学際的調査・研究の推進及び知識の普及を図り,もって,化学物質による環境汚染の防止及び環境保全に寄与することを目的として1990年に設立され,約850人の個人会員と約100団体の団体会員を擁する環境系学会です。今回の優秀発表賞は,エントリー資格として15分の口頭発表をおこない,そのうえでポスター発表をおこなって,環境化学分野を専門に活動している複数の著名な学会員により審査されました。
Jae Seung Leeさんの発表演題は,「Assessment of estrogenic and anti-estrogenic potency of bisphenol A replacement in zebrafish」です。樹脂原料ビスフェノールA(BPA)の代替物質として生産・使用量が増加しつつある化合物を対象に,エストロゲン受容体を介した内分泌かく乱作用を,ゼブラフィッシュというモデル動物を用いて評価したものです。胚を用いた曝露実験の結果,BPAよりも内分泌かく乱作用の強い代替物質が多数存在することを明らかにしました。さらに計算科学的手法で化合物とエストロゲン受容体の結合性を評価することで,実際に生体で生じる内分泌かく乱作用の強さを予測できる可能性を示しました。こうした成果は,生きた動物を使わずに化合物の生体影響を予測できる新たな手法として,環境分野にとどまらず医学分野等での応用も期待されます。
Leeさんは,「初めての学会でこのような賞を受賞して大変光栄に思うとともに,ご指導・ご協力いただいた先生方,関係者の皆様に深く感謝いたします。これからも研究に精進し,環境毒性学分野に貢献できるよう頑張りたいと思います。」と喜びを語ってくれました。