9月13日(金)~15日(日)に,九州産業大学で開催された「第50回日本緑化工学会大会―50回記念大会―」において,宗岡寿美教授(環境農学研究部門)が日本緑化工学会賞(論文賞)を受賞しました。
受賞題目は「積雪寒冷地の法面保全と緑化工技術の応用に関する一連の研究」であり,日本緑化工学会誌ほかに掲載された7編の学術論文が対象業績とされました。
宗岡教授は1990年代後半以降,寒冷少雪の北海道東部地域で冬期の気象・地盤環境を長年観測した結果,北向き・西向き法面で凍上被害が多発する理由を明らかにし,法面方位の違いを考慮した保全対策について提言してきました。近年では,根系による土層の補強効果に着目し,草本植物の根系を含む土供試体の一面せん断試験を多数実施した結果,草本植物の種類・生育期間・法面方位などの違いにより生育初年度の根系を含む土層の強度定数(粘着力c・せん断抵抗角Φ)はそれぞれ大きく異なることを確認しました。今後の方向性として,法面保全の立場から草本植物の生育(根系の発達)を通じて,法面表層における2種類の強度定数を同時に増大可能な諸条件を創出する必要性を提唱しました。
こうした一連の研究成果は,国土の保全・防災の視点からも,積雪寒冷地の法面保全と緑化工技術に広く役立つ応用的かつ有用な知見として高く評価されました。