木下 幹朗 教授 KINOSHITA Mikio

研究テーマ複合脂質とくにスフィンゴ脂質の食品機能性、各種複合脂質の化学特性の解析

My Dreamスフィンクスの謎を食品機能のアプローチで探る
研究分野 食品機能学, 食品化学, 脂質生化学, 油脂化学
キーワード スフィンゴ脂質, アポトーシス, 大腸腺腫, 糖脂質, 消化管炎症, 機能性食品

研究紹介

当研究室では、脂質の化学・生化学および食品機能性をキーワードとして研究に取り組んでおります。また地域の農作物の食品機能性評価についても地域貢献の視点から取り組んでおります。

  1. 植物・真菌スフィンゴ脂質の構造とその食品機能性
    当研究室では、初代教授の藤野先生が世界で初めてスフィンゴミエリン(動物組織に多く存在するスフィンゴ脂質の1種)の構造を決定され、また大西教授が植物スフィンゴ脂質の化学特性を総括したこともあり、植物由来のスフィンゴ脂質の研究を継続して行っています。最近は植物や微生物に由来のスフィンゴ脂質、特にグルコシルセラミドの食品機能性についての研究を行い、大腸腸腺腫発症抑制効果、皮膚炎緩和効果、腸管炎症抑制効果等を報告してきました。現在これらの機構がどのようにして生じるのか?を目的に、細胞や実験動物を用いて悪戦苦闘しております。
  2. 動物由来機能性リン脂質の構造とその食品機能性
    リン脂質はグリセロール骨格3位に結合する極性基や1位の結合様式の違いにより、様々な種類があります。近年、その立体構造の違いによりリン脂質は異なる機能性を示すことが明らかになってきています。たとえば、脳神経系に多いプラズマローゲンは1位にビニルエーテル結合を持つリン脂質ですが、一般的なジアシル型リン脂質にはない神経アポトーシス抑制効果を示すことがわかってきております。我々の研究室ではプラズマローゲンを含む機能性リン脂質に注目し、その機能性の解明や生体利用性の向上、そして低利用・未利用資源からの供給源の探索を行っております。また、現在、医学部との共同研究により疾病における血液中の特定のリン脂質の増減に着目し、疾病マーカー探索を行っています。
  3. 十勝産ナガイモの食品機能性
    北海道十勝地方はナガイモの産地として知られ,品質の良さから海外へも輸出されています。ナガイモは、古くから漢方薬の「サンヤク」とも呼ばれ胃腸虚弱等の効用があると伝承されています。私たちはナガイモの消化器官に対する機能性について興味を持ち、大腸ポリープモデルDMH投与マウスにおける大腸ポリープの発症抑制効果について検討したところ、ナガイモ投与による効果が顕著でした。また、 DNAマイクロアレイを用いて、大腸の遺伝子発現の異同を解析したところ、アポトーシス関連遺伝子の発現が誘導されることを見いだしました。上記のように、北海道特に十勝地方の農作物の食品科学に関する諸問題については、可能な限り対応しております。
    (山下・木下)
食餌性セレブロシドの生理的作用

現在取り組んでいる研究テーマ一覧

  • 複合脂質特にスフィンゴ脂質の化学特性
  • 複合脂質の食品機能性
学位 博士(農学)
自己紹介

東京都出身、1985年高校卒業と同時に畜大に入学、6年後仙台大阪岡崎と本州に約10年修行の旅に出たのち、なぜか帯広に舞い戻り、すでに20年経過しました。週末は病気の治療(2型糖尿病予備軍)を兼ねて自身に、夏は30kmの自転車こぎ、冬は10kmの歩くスキーを課しております。

居室のある建物総合研究棟3号館
メールアドレス kinosita atmark obihiro.ac.jp

所属・担当

研究域生命・食料科学研究部門/食品科学分野/食品加工利用学系
学部(主な担当ユニット)食品科学ユニット
大学院(主な担当専攻・コース)畜産科学専攻食品科学コース
所属学会 日本農芸化学会, 日本油化学会, 日本栄養食糧学会
学歴・職歴 1985年4月 - 1989年3月 帯広畜産大学 畜産学部 農産化学科
1989年4月 - 1991年3月 帯広畜産大学大学院 農産化学専攻
1991年4月 - 1995年3月 東北大学大学院 農学研究科 食糧化学専攻博士後期課程
1995年10月 - 1998年9月 科学技術振興機構 科学技術特別研究員(国立循環器病センター研究所派遣)
1998年9月 - 1999年9月 岡崎国立研究機構基礎生物学研究所 非常勤・特別協力研究員
1999年10月 - 現在 帯広畜産大学