ロメロ イサミ 准教授 Isami Romero
研究テーマ1)冷戦期における日本の「食料外交」: 砂糖と捕鯨の事例
2)植物生産を支える公共政策と多主体間ガバナンス:野生動物被害の事例
| 研究分野 | 国際関係論, 日本外交史, 政治学 (公共政策、農業政策) |
| キーワード | 日本外交, 食料外交, 砂糖, 捕鯨, 野生動物被害, 動物政策論 |
研究紹介
2000年代以降、外交史料に基づく日本外交に関する研究が増加しています。これは、2001年に施行された「情報公開法」(行政機関の保有する情報の公開に関する法律)によって日本政府の公文書が公開され、日本の外交政策がどのように決定されたかを明らかにできるようになったためです。同時に、米国をはじめとする世界各国の公文書館にもアクセスできるようになり、他国がどのような対日外交政策をとったかを知ることが可能になりました。
私はこのような動向に貢献するべく、研究を行ってきました。帯広畜産大学での研究・教育活動を通じて、日本外交史および冷戦史を専門とする研究者として歩んできました。池田政権期(1960〜1964年)におけるキューバに対する外交政策を分析する過程で、日本の砂糖外交についても研究を進めてきました。
現在は、日本の「食料外交」の歴史について研究しています。具体的には、戦後の日本がどのように海外の食料を確保してきたのかを分析しており、1950年代から1960年代の日本の「捕鯨外交」を主な事例として取り上げています。また、日本の砂糖外交に関する研究も継続しています。
外交史研究と並行して、2023年以降、野生動物による農作物被害(鳥獣害)の政策・ガバナンスに関する研究にも取り組んでいます。鳥獣害は植物生産の現場における深刻な問題ですが、その対策は単一の主体では困難であり、地方自治体・農家・狩猟者・JA・国の制度といった複数のステークホルダーの協働について検討を進めています。
さらに、これらの研究活動と並行して、日本文学のスペイン語翻訳にも取り組んでいます。太宰治、芥川龍之介、宮沢賢治、谷崎潤一郎、岡本かの子、山本周五郎、和田竜、長嶋有、京極夏彦など、近代から現代までの作品をスペイン語圏の読者に紹介してきました。こうした翻訳活動を通じて、日本文化のスペイン語圏への発信にも携わっています。
現在取り組んでいる研究テーマ一覧
- 日本の食料外交に関する研究(砂糖外交、捕鯨外交)
- 野生動物による農作物被害と多主体間ガバナンスに関する研究
- 日本文学の翻訳(日本語〜スペイン語)
| 学位 | 博士 (学術) |
| 自己紹介 |
私はメキシコシティで生まれ育ち、幼い頃から歴史、国際政治、文学、音楽に親しんできました。ラテンアメリカで育つなかで、異なる文化や国々がどのように関わり合うのかに強い関心を抱くようになり、それがやがて外交史研究へとつながっていきました。 2001年に来日し、当初は一つの冒険のつもりでしたが、それはいつしか生涯をかけた旅となりました。20年以上日本で生活してきた経験は、研究者としての私に独自の視点を与えてくれています。 研究以外では、熱帯魚の飼育、ギターとベースの演奏、サッカー観戦を楽しんでいます。ブリティッシュロックや雑学への興味も尽きません。 |
| 居室のある建物 | 総合研究1号館 |
| メールアドレス | romero
obihiro.ac.jp |
所属・担当
研究域/人間科学研究部門/人文社会学・言語科学分野/人文社会学・言語科学系| 所属学会 | 日本国際政治学会, 米国外交史学会, アメリカ学会, 「野生生物と社会」学会, 同時代史学会, 日本比較政治学会 |
| 学歴・職歴 | 1999年 メキシコ経済教育研究所大学院大学 国際関係学部 卒業 2004年 東京大学 大学院総合文化研究科国際社会科学専攻 修士課程修了 2007年 東京大学 大学院総合文化研究科国際社会科学専攻 博士課程単位取得満期退学 2010-2012年 早稲田大学国際教養学部 助教 2012-2022年 帯広畜産大学人間科学研究部門 講師 2022年- 現職 |
卒業研究として指導可能なテーマ
原則として、私のように学部の「教育ユニット」(家畜生産科学、環境生態学、食品科学、農業経済学、農業環境工学、植物生産科学)に所属していない教員は、卒業論文を担当しないこととなっています。ただし、所属ユニット長が認めた場合は、卒業論文を担当することができます。詳細は『教員一覧』の「卒業研究指導教員の決定に関する申合わせ」をご確認ください。
大学院(博士前期課程・博士後期課程)については指導が可能ですが、テーマや専門分野によってはお引き受けできない場合があります。
以上を踏まえ、以下に関連するテーマであれば指導を担当いたします。
- 日本の食料外交(捕鯨、砂糖)
- 野生動物による農作物被害と地域ガバナンス(鳥獣害対策の政策分析)
- 日本の動物政策
メッセージ
学生の皆様の多くは「政治」と聞くと、「難しい」「自分には関係ない」「距離を感じる」といったイメージを持つかもしれません。実際、近年の日本では多くの有権者の政治離れが進んでいます。
しかし、「政治」は皆さんの毎日の生活に深く関わっています。
帯広畜産大学の学生であれば、農業・畜産・食料・動物に関心がある方が多いと思います。実はこれらの分野は、すべて「政治」と切り離せません。
たとえば、牛乳や乳製品の価格はなぜ変わるのか。これには農業補助金や貿易政策が関係しています。捕鯨はなぜ国際的な問題になるのか。外交政策と国内の食文化が衝突しているからです。輸入牛肉はなぜ増えたのか。通商交渉・貿易協定の結果です。動物園や国立公園の管理はどうやって決まるのか。法律と行政の「政策」によって決まります。
このように、「政策」という視点から見ると、農業・畜産・食料・動物のあらゆるテーマが「政治」と深く結びついていることがわかります。
「政治を変えるのは難しい」と感じるかもしれません。しかし、まず「知る」ことが第一歩です。皆さんが学んでいる農業・畜産・食料・動物の分野を通じて、ぜひ「政治」の面白さを発見してください。
