浅利裕伸准教授(環境農学研究部門)が、第30回「野生生物と社会」学会大会において、学会賞を受賞しました。
この賞は、野生生物と人間社会との関係に関する研究分野において、学術的および社会的に顕著な貢献を果たした研究者に授与されるものです。
受賞した研究題目は、「小型・中型哺乳類の基礎および応用的研究-特に開発に関わる一連の研究」です。
樹上性哺乳類の生息には森林の存在が不可欠であり、森林の消失や減少は生息地の減少をもたらすだけでなく、生息地の分断につながりますが、具体的な影響についての研究は限られています。これまでの野外調査によって得られた結果から、エゾモモンガの移動(滑空)能力を明らかにすることで、森林伐採による移動阻害の影響と対策の必要性を提言してきました。また、生息地の狭小化によって行動圏が変化することや巣資源が制限されることを示すなど、樹上性哺乳類の生態解明にも貢献しています。
さらに、開発による樹上性哺乳類への影響だけではなく、道路開発にともなうロードキルの問題について、ロードキル発生要因の解明といった基礎的研究から対策手法の開発など幅広い応用研究を展開してきました。
これらの野生動物と開発との関わりにおける一連の研究に加え、長年に及ぶ学会での企画集会の開催、理事などの学会運営が評価され、学会賞が受賞されました。
なお、同大会では、帯広畜産大学名誉教授の栁川久氏が「学会功労賞」を受賞しました。
学会功労賞は、本大会の運営および後進の指導・育成について顕著な業績を挙げた会員を顕彰することを目的とした賞で、受賞年度末において満50歳以上の会員を対象に選考されるものです。
