令和7年9月12日(金)帯広畜産大学講義棟において、日本農業経営学会と本学(次世代農畜産技術実証センター)の共催による地域シンポジウム「畑作酪農専業地帯におけるスマート農業技術の展望」を開催しました。
このシンポジウムは、地域の実情を踏まえた農畜産業の持続可能な発展を目指して、次世代農畜産技術実証センター長の河野 洋一准教授(環境農学研究部門)が企画検討に関わり、道内外における農業経営におけるスマート農業技術の導入・利用に対する議論を深める場として企画され、当日は約70名が参加しました。
講演では、はじめに藤本 与助教(環境農学研究部門)が、十勝における大規模畑作での無人防除システムの現状と課題について研究成果も交えて報告しました。続いて、十勝農業協同組合連合会農産部の前塚 研二氏が、統合的な農業経営支援基盤「TAFシステム」を中心に、地域の大規模畑作や酪農を支える支援の取り組みを紹介しました。
さらに、エゾウィン株式会社の大野 宏氏は、GPSやセンサーを搭載した農業機械のデータを自動記録・可視化する「レポサク」を活用し、小麦収穫の現状分析や課題抽出を行う事例を解説しました。株式会社ファームノートデーリィプラットフォームの平 勇人氏からは、「ネットワークで回す牧場経営」の実践を通じて、酪農経営におけるスマート農業の可能性が示されました。なお、講演の座長は次世代農畜産技術実証センターの三宅 俊輔准教授(環境農学研究部門)が務めました。
北海道の農業は大規模化により生産性を高めてきましたが、近年は担い手不足が深刻化しています。このシンポジウムでの議論が、地域の実情に即したスマート農業技術のあり方を探る契機となり、持続可能な発展と先進技術の普及促進につながることを期待しています。
