10月2日(土)に旭川医科大学にてオンラインで開催された第67回日本寄生虫学会・日本衛生動物学会北日本支部合同大会において、共同獣医学課程5年の水関実法子さん(原虫病研究センター・節足動物衛生工学分野・福本研究室)が大会長賞を受賞しました。水関さんの発表演題は「重症複合型免疫不全マウスを用いた犬糸状虫ミクロフィラリア血症移植モデルの開発」です。
犬糸状虫はフィラリアとして知られる蚊媒介性の寄生虫で、日本をはじめ世界中で蔓延しています。この病気を防ぐためには予防薬が必要ですが、薬が効かない犬糸状虫が発見されるなど予断を許しません。この病気を防ぐにはなぜ蚊が寄生虫を媒介できるのか、その謎を解き明かす必要があります。それには犬糸状虫のミクロフィラリア幼虫が必要です。ミクロフィラリアは一般に犬から採取しますが、動物福祉などの問題があります。
そこで水関さんは犬の代替法として、マウスを用いた犬糸状虫ミクロフィラリアモデルの開発を試みました。一般的にミクロフィラリアは免疫の働きでマウスからすぐに排除されてしまいます。水関さんは特殊な処置をした免疫不全マウスを用いることでこの問題を解決することに成功しました。このマウスモデルの開発に成功したことで、犬糸状虫の媒介機構や新薬の開発研究など様々な応用が期待されます。
水関さんは「まさかこのような素晴らしい賞をいただけるとは思わなかったので、とても嬉しいです。先生から日々ご指導をいただけたことに本当に感謝しています。大学入学へ後押ししてくれた両親へお礼を言いたいです。初めての学会参加でしたが、良い思い出を作ることができました。今回の受賞を励みに、今後も研究を進めていきたいです。」と喜びを語りました。