3月19日(金)から3月21日(日)までオンラインにて開催されました、2021年度日本育種学会春季大会(第139回講演会)において、大学院博士前期課程畜産科学専攻植物生産科学1年生の若林妙恵(わかばやしたえ)さんが、第139会講演会日本育種学会優秀発表賞を受賞しました。若林さんの発表演題は「temperature sensitive hybridbreakdown1はイネ品種間の交雑後代で雑種崩壊を引き起こす」です。
品種改良では、特性の異なる両親を交雑して、その子孫から有用な個体を選抜する手法がよく活用されていますが、子孫には、両親からは予想も出来ないような生育不良となり、場合によっては枯れてしまう個体が一定数出現することがあり、これを雑種崩壊と呼びます。
雑種崩壊では、両親から引き継いだ重要な遺伝子も、雑種崩壊の原因遺伝子とともに消失することが問題となっています。このような雑種崩壊は一般に、両親が遠縁、例えば種間あるいは亜種間の交雑で生じるとされてきました。
若林さんは、このような現象が北海道で栽培されている血縁関係にある品種間の交雑でも生じることを発見しました。その原因となっている遺伝子を特定し、この遺伝子が本州から北海道に導入された古い品種に由来することを突き止めました。この成果により、交雑後の子孫から重要遺伝子を消失させないような技術開発が可能になることが期待されます。
若林さんは「この度はこのような素晴らしい賞を受賞することができて、大変光栄に思います。本学会の発表をするにあたって、さまざまな先生方にご指導をいただきましたこと、心から感謝しています。私一人では受賞をすることはできなかったと思います。今回の受賞を励みに、今後も精一杯研究していきたいと思います。」と喜びを語りました。