客員研究員の宮崎直美さんが令和元年度日本緑化工学会研究奨励賞を受賞しました。
日本緑化工学会は,緑の再生,創出,保護,管理等に関する研究を推進し,広く緑化技術の向上発展を図ること、そして自然環境の保全,生態系の早期回復,生活環境の改善等に寄与することを目的とした,自然再生・環境修復をテーマとするアジアで最も古い学術団体です。
宮崎さんの受賞題目は,「北海道十勝地方の都市人工林における在来草本・木本の再生・更新過程に関する一連の研究」です。宮崎さんは,100年計画で都市林を育成している都市公園「帯広の森」において,植栽後30年余りの植生の再生・更新過程の研究を行ってきました。暗い光環境において,ミヤコザサの優占は抑制されていることが分かり,都市人工林で樹木の更新を行う上での有用な情報が得られました。また,樹木の稚樹の定着には光以外の阻害要因が存在することを明らかにし,今後樹木の更新を促進する上で取り組むべき課題を示しました。また,林内で天然更新する稚樹の樹齢を簡易に推定する方法を開発しました。
これらの知見は自然林を模した樹林地を造成する上で非常に有用であると評価され,今後の研究の発展も期待されています。
宮崎さんは「10年前の学生時代に出会った『帯広の森』。多くの方々の支えで研究を続け,形にしたことが今回このような賞を頂き,心から感謝しています。100年かかるともいわれる森づくりの分野に貢献できるよう,これからも精一杯取り組んでいきます。」と喜びを語ってくれました。