12月5日(水)~6日(木)に台湾の台北市で「日本-台湾野生動物獣害管理国際学術会議」が開催されました。
この会議は,台湾林務局及び台湾の大学関係者に対する情報提供と日本及び台湾の野生動物管理関係者の意見交換を目的として,台湾政府農業委員会林務局及び台湾東海大学生命科学系の林 良恭教授が企画したものです。日本側のコーディネートは,環境農学研究部門の押田 龍夫教授(日本哺乳類学会国際交流委員会委員長)が担当し,日本哺乳類学会の後援により開催されました。
会議は林務局副局長の廖 一光氏の挨拶で始まり,議長は林教授と押田教授が交代で務めました。約40名の研究者が参加し,パネルディスカッション形式にて進行しました。また,日本語・中国語の通訳が入ることで,内容について詳細な議論を行うことが出来ました。
日本と台湾にはツキノワグマ,イノシシ,シカ,サルという農業被害・環境保全を考える上で共通の課題となる動物が生息しています。日本側からは,ツキノワグマ,イノシシ,シカ,サルの管理をテーマとして第一線で活躍している研究者の方々が演者として参加し,押田教授もリス類による林業被害をテーマに発表を行いました。台湾側からも,イノシシ,シカ,ベンガルヤマネコ,そしてサルの管理を実践している研究者が発表を行いました。
シカやイノシシ等の大型野生動物による被害を食い止めるためには,狩猟による頭数のコントロールが効果的ですが,台湾では少数民族以外による狩猟は許可されておらず,これが被害の拡大を招いていることが今回の会議で浮き彫りとなりました。法律と生命倫理(感情問題)が絡んだ今後の難しい検討課題の一つです。本会議は,今後の野生動物の管理についてどの様に考え,日台でどのような連携を行うべきかを検討するよい機会となりました。
会議終了後には,押田教授をはじめ日本からの演者に台湾農業委員会林務局及び台湾東海大学生命科学系から感謝状が贈呈されました。