12月12日(木),パラグアイ国にある家畜品質・衛生機構(SENACSA)にて,本学の井上昇理事・副学長(国際獣疫事務局認定専門家)が特別講演『南米におけるトリパノソーマ病』を行いました。
この講演は,本学と独立行政法人国際協力機構(JICA)の包括連携協定に基づき実施されたものです。昨年度は,五十嵐郁男名誉教授が『牛のバベシア病』をテーマに講演しており,今回で2回目の開催です。
パラグアイでは,昔からトリパノソーマ病の一種で人に感染する「シャーガス病」が流行しており,多くの日本人専門家も技術協力にあたっていました。しかし,家畜である牛,馬,山羊,羊などに感染し,甚大な被害を及ぼすトリパノソーマ病については,あまり知られていません。今回の講演では,これまで井上理事が研究してきたアフリカ大陸やモンゴルでの事例紹介や,パラグアイにも家畜への病原性が強いトリパノソーマが3種存在することを説明し,診断・予防・治療をテーマに総論と各論に分けて講演しました。今回,井上理事のほか,同国にてトリパノソーマ種について研究されているセディベップ社のロドリゲス氏も講演され,SENACSAやアスンシオン大学医学部,獣医学部の関係者約70名が参加しました。参加者からは,現場で実装可能な診断法や治療法に関する質問があり,大変有意義な講演会となりました。

