12月11日(水)に,帯広畜産大学農業共生圏高度専門家育成事業の一環として,協働による野生生物と人との軋轢の軽減,解消を推進することを目的に,「人への伝え方~協働による野生生物対策~」講習会を開催しました。
野生生物と人との軋轢は,獣害問題,外来種問題,生息地悪化の問題など多岐に及んでおり,解決すべき課題は今後も多様化していく可能性があります。さらに,軋轢が起こっている地域や種,そこに暮らす人々の考え方などが異なることから,問題解決のためのマニュアルを作ることは困難です。そのため,その地域の住民や行政,企業,研究教育機関などがそれぞれの立場から問題に取り組み,複合的な視点から解決策を検討していくことが今後より必要になります。
しかし,利害関係者が増えることにより意見の調整や方針の統一が困難になるだけでなく,情報の間違った伝達や誤解を与える発言によって問題解決が円滑に進まないといった問題が生じる恐れがあることから,自分の意見を相手に適切に伝え,正確な情報や考え方を理解してもらえるかが重要な観点となります。
本講習会では,長崎県対馬市で獣害対策を行っている一般社団法人daidai代表理事である齊藤ももこ氏を講師にお招きし,野生生物対策をテーマに「人に伝える」重要性とその事例について,15名の参加者が学びました。
はじめに齊藤氏から,対馬で実施されている鳥獣被害対策のコンサルティング業務において,実際に直面した課題と,解決する際の「伝え方・伝えること」の重要性について,ご自身の体験を基に事例を交えて紹介がありました。続いて,コミュケーションをとる中での重要な点について,参加者がそれぞれ聴き手,話し手に分かれてグループワークを行いました。
参加者からは,「他の地域の事例を聞く機会は少ないので,とても参考になった」「コミュニケーションにおいて自身を見つめ直す良い機会となった。」といった感想が寄せられ,本講習会を通して参加者同士の交流も深めていただくことができました。