7月2日~3日に,開発事業等においてコウモリの保全対策に携わる方の技術向上を目的に,コウモリ捕獲技術講習会を開催しました。
開発事業においては,対象地域の生物相を明らかにし,それらの生態的特性等を考慮した保全対策を検討する必要があります。中でも小型コウモリ類は森林から都市域まで広く生息しますが,非常に小型であることや夜行性であること,高速で飛翔することから,その存在はあまり知られていません。さらに,同一地域に多種が生息していることもあり,形態が非常に似ている種も多いことから、種の識別にはさまざまな部位の特徴等を確認する必要があります。しかし、熟練者からコウモリの捕獲や識別を学ぶことができる場は限られており,その技術は普及していません。
本講習会は,野生生物と人が共存できる社会実現を目指す「農業共生圏高度専門家育成事業」の一環として開催され,19名の参加者が本学栁川理事及び環境農学研究部門の浅利特任講師から,コウモリの識別や捕獲方法について学びました。
はじめに浅利特任講師からコウモリ捕獲の許可申請手続きや捕獲方法,コウモリの識別方法についての講義があり,続いて栁川理事及び浅利特任講師の指導のもと,実際に参加者が売買川河畔林にかすみ網,中札内村にハープトラップと呼ばれるコウモリを捕獲するための罠を設置しました。日没後,参加者はかすみ網のそばでコウモリをじっと待ち,コウモリが捕獲されると教員が網から外し種別の観察や計測を行ってから放獣しました。翌日は早朝6時半に集合し,ハープトラップで捕獲されたコウモリについて1日目同様に観察後に放獣し,その後大学に戻りコウモリの保全対策について講義を行いました。
講習の間も活発に質疑応答がされた他,参加者からは「実践的に学ぶことができてよかった。」「今後の業務に役立てたい。」などといった感想が寄せられ,野生生物の保全に必要な知識・技術を深めていただくことができました。