3月5日(月)に日仏会館(東京都渋谷区)で開催された日仏獣医学会第58回研究例会において,共同獣医学課程5年坂口 加奈さんが発表した研究成果「マイクロチップ型核酸分離システムを用いた牛白血病ウイルス感染による持続性リンパ球増多症B細胞のクローナリティー解析」が学術奨励賞を受賞しました。
日仏学会は,我が国獣医界とフランス獣医界との学術交流を目的に1989年に設立された学会であり,日本側では国内の獣医学関連研究者が参加しています。毎年総会と研究例会を開催するとともに,日本とフランスで交互に日仏獣医セミナー,あるいは招聘講演会を開催し,日仏の学術交流活動を活発に行っています。主として感染症や免疫,疫学に関する研究者が多いのが特徴です。
坂口さんの研究は,近年生産現場で問題になっている地方病性牛白血病について,発症の前段階とされる持続性リンパ球増多症の病態解析を行ったものです。その結果,これまでは腫瘍ではないとされていた持続性リンパ球増多症症例の中にも,既に腫瘍化している個体が含まれることを明らかにしたものであり,家畜衛生上非常にインパクトの大きな内容です。研究成果は,今後のより効果的な牛白血病防疫対策の立案に応用されることが期待されています。
なお,研究には昨年本学の共同利用設備ステーションに導入されたマイクロチップ型核酸分離システムが用いられており,高精度なリンパ球のクローナリティー解析を実施することができました。
坂口さんは,「研究活動を評価していただき,大変光栄に思います。今後も病気の動物を身近に観察出来る環境にいることに感謝し,日々の疑問点を大切にしたいです。残された学生生活を精進し,臨床現場に貢献出来る獣医師を志します。」と喜びを語りました。
