第67回畜産学部学位記授与式,第58回別科修了証書授与式,第51回大学院学位記授与式が,3月20日(水)午前10時から講堂において,関係者の列席のもとに挙行されました。
奥田学長から,学部卒業生240名及び大学院修士課程・博士前期課程修了生43名に学位記が,別科修了生13名に修了証書が,それぞれ代表者に授与されました。また,畜産衛生学専攻博士後期課程修了生3名には,「畜産衛生学」の学位記が授与されました。
学長による告辞のあと,ご臨席いただいた帯広畜産大学同窓会会長の砂川敏文様から祝辞をいただきました。
その後,学生表彰が行われ,学長から学業成績優秀者8名に表彰状と学生後援会から記念品が贈呈されました。
続いて,ご来賓の同窓会会長,理事,監事,副学長の紹介があり,最後にマンドリンサークルによる帯広畜産大学逍遙歌の演奏がありました。蛍の光が流れるなか,卒業生,修了生が退場し,式が終了しました。
告辞
本日ここに,ご来賓の方々,教職員のほか,多数のご家族,関係の皆様にご臨席をいただき,平成30年度帯広畜産大学学位記並びに修了証書授与式を挙行できますことは,卒業生,修了生の皆さんはもとより,本学にとりましても大きな喜びです。
畜産学部,別科草地畜産専修,大学院畜産学研究科のそれぞれの課程を修了され,本日,この式典に臨むことができますのは,皆さん自身が努力と研鑽を重ね,それぞれの課題や困難を克服した結果であり,深く敬意を表します。留学生の皆さんは,環境や文化の違う地において,さらに苦労が多かったことと思います。卒業あるいは修了の時を迎えられたすべての皆さんに,帯広畜産大学を代表して心からお祝い申し上げます。
また,これまで,さまざまな形でご支援をいただきました,ご家族の皆様方,関係の皆様には,感慨もひとしおのことと推察いたします。心よりお慶びを申し上げますとともに,今日まで熱心に指導して下さった先生方,また学業や生活に必要な支援をして下さった職員の方々にも,この場を借りましてお礼を申し上げます。
本年度の帯広畜産大学の学部卒業生は240名,別科修了生13名,大学院修了生46名,総勢299名であります。そして,そのうち13名の外国人留学生が卒業・修了を迎えられました。帯広畜産大学の名のもとに,これからの日本を支え,世界に羽ばたく299名の人材を社会に送り出すことは,学長として大きな誇りです。
さて,学部卒業の皆さんは,これから社会に出て仕事をされる方,大学院に進学される方と,その進路は様々だと思います。学部卒業,大学院修了,別科修了を問わず,皆さんは,実学を基調とする本学で,幅広い知識や技術を修得するとともに,研究を通して,これから直面する様々な課題に取り組むための知識とともに困難を乗り越える術を身に付けてきました。学業に加え,アルバイト,国内外でのボランティア,サークルでの活動など,異なる価値観を持った仲間たちとの議論や行動を通して,社会で活躍できる自己を磨くとともに,人生の糧となる多くの友人や,相談できる仲間を作ってきたと思います。進学する卒業生の皆さんは,これから学生という立場ではありますが,研究室において学部時代と異なり,様々な場面で自ら決断しなければならない場面が増え,責任ある言動が求められます。
皆さんは今日,これまでの学びの場から,社会あるいは大学院という新たな局面への扉を開くことになります。そうした今日卒業,修了していく皆さんへの「はなむけ」として,困難に遭遇した際に思い出していただきたいトーマス・エジソンの逸話を紹介します。
白熱電球や蓄音機をはじめ数々の発明をし,栄光をつかんだエジソンは,学校時代は授業についていけず職を転々としたことが知られています。白熱電球の実験で失敗の連続だった彼を支えたのは前向きの思考で,「私は今までに一度も失敗したことがない。1万通りの電球の光らない方法を見つけたのだ」という話は有名です。あるいはまた,火事で自らの工場を失った時も,「こんな大火事はめったに見られない」と家族とともに見物したという話が残っています。小学生の頃に読んだ伝記を思い出した人も多いでしょう。
社会で成功した人達は特殊な才能や運に恵まれたと思いがちですが,成功者と呼ばれる人達は,大きな困難,すなわち負の経験を次の挑戦に向けたプラスのエネルギーに変換し,前向きの思考で乗り越えてきました。皆さんもこれからの人生において,思い通りに物事が進まず思い悩むことがあるかも知れません。人生の壁に当たって思い悩んだ時は,エジソンの生き方を思い出し,失敗を恐れず積極的にチャレンジし続けていただきたいと思います。
本学の卒業生はこれまで約1万6千人が国内外の「生命,食料,環境」の分野で,多彩な活躍をされています。全国各地に設立されている同窓会支部には,様々な職種,幅広い年齢の同窓生が集い,皆さんが過ごされた十勝・帯広,あるいは大学時代の思い出話に花を咲かせ,楽しい時間を過ごされています。皆さんも,これから活躍される地にある同窓会支部に是非参加してください。同じキャンパスで過ごした同窓生には多くの共通の思い出があり,学生時代に育まれた絆を実感するに違いありません。
私自身も本学卒業生の一人として,様々な場所で仕事する機会を得てきましたが,常に本学卒業生であることに大きな誇りを持ってきました。その思いはすべての同窓生に共通です。私は学長として全国で開催される同窓会に参加してきていますが,昨年はブラジル同窓会40周年記念に参加しました。そこでも実感したのは,どの国で,どの場所で,どのような職業に就いていても,多くの同窓生の皆様が母校への熱い思いを持ち続け,母校の益々の発展のために応援してくださっていることです。今日,皆さんが本学同窓会の仲間になられることを,学長・同窓会名誉会長として心から歓迎するとともに,明日からは色々な角度から母校を応援してくださるようお願いいたします。
卒業は,大学との別れではありません。大学は,さらなる知識を得る場,学び直しの場として皆さんの近くに在り続けます。いかなる時も大学の扉は皆さんに開いています。卒業した皆さんが社会で直面する様々な課題をともに解決する時こそ,新たな協働の始まりとなり,大学の発展にも繋がります。どうぞ,皆さんには,これからも本学と積極的に関わりを持ち続け,本学卒業生であることを活用していただきたいと思います。
今日を迎えられた皆さんひとりひとりに,今一度お祝いを申し上げるとともに,本学在学中に得た様々な知識や経験をもとに,エジソンのように『いかなる困難に直面しても飽くなき挑戦の精神を忘れず積極的に行動する人生を送っていただくよう』エールを送り,告辞といたします。
平成31年3月20日
帯広畜産大学長
奥田 潔