中林 一美 准教授 Nakabayashi Kazumi
研究テーマ作物や雑草種子の休眠と発芽のメカニズムの生理学的・分子生物学的解析、および農業への利用
所属・担当
研究域/環境農学研究部門/植物生産科学分野/植物生産科学系学部(主な担当ユニット)植物生産科学ユニット
研究分野 | 植物生理学, 植物分子生物学, バイオテクノロジー |
キーワード | 種子休眠・発芽, 植物ホルモン, 雑草制御, 環境応答, ガスプラズマテクノロジー |
研究紹介
- 種子休眠と発芽
種子の発芽は農業において非常に大切な第一段階であり、昔から育種のターゲットになってきました。現在の品種は種子の眠りが浅く発芽しやすいものが多いですが、眠りが浅すぎても弊害があります。どのような遺伝子がどういう働きをするから眠りが深くあるいは浅くなるのかをモデル植物で研究してきましたが、モデル植物で明らかになったことが別の作物種で同じように機能しているとは限りません。ですので、最近は様々な作物種で同様の解析を行い比較研究をしています。 - 雑草の制御
また、気候変動による環境変化に対応するための作物種の品種改良は重要ですが、収穫量を上げるためには雑草との競合を下げることも非常に大切です。雑草もまた発芽するわけですが、いかにして作物種の発芽の時期に被らないようにするか、どうすれば農薬に頼りすぎない管理ができるかを探っています。 - ガスプラズマテクノロジー
以上は、植物サイドの眠りと発芽に関する環境応答の研究ですが、全く異なるアプローチとして外部からの処理によって植物の生理応答を変化させる試みも行なっています。近年注目を浴びている大気圧低温プラズマによって、ある作物種の種子の発芽や幼苗の生育を促進する可能性があることが報告され、種子収穫後のテクノロジーとして利用する方法をロンドン大学ロイヤルホロウェイ校で研究していたときに国際特許を取りました。しかし、ガスプラズマ処理によって、植物の何がどう変化しているのかについてはまだわからないことが多く、実用化に向けては数多くの問題があります。現在は、効果の見える植物種を探索しつつ、詳細な生理的・分子生物学的変化を解析しています。
現在取り組んでいる研究テーマ一覧
- セリ科作物種(ニンジン、セロリ、パースニップなど)の発芽時における温度応答性の生理・分子生物学的研究
- 様々な雑草種子の休眠と発芽制御と環境応答
- 種子微生物が発芽や種子の寿命に与える効果に関する研究
- ガスプラズマテクノロジーが休眠打破や種子発芽に与える影響に関する研究
所属学会 | 国際種子科学会 |
Editor | Frontiers in Plant Science: 2022- |
Editorial Board |
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学位 | 博士(理学) |
自己紹介 |
大阪出身ですが、帯広畜産大に来る前のケルン、ロンドンの方が大阪よりも長くなりました。ヨーロッパでは、クラシックのコンサートやオペラなどによく足を運んでいましたが、久しぶりの日本、北海道は食べ物が美味しくて色々食べ歩いたり、温泉に行けるのが楽しみです。 |
居室のある建物 | 総合研究棟Ⅰ号館 |
部屋番号 | E3202-3 |
メールアドレス | knakab ![]() |
卒業研究として指導可能なテーマ
- 作物種の種子休眠と発芽の生理学的解析
- 雑草種子の環境生理学
- 雑草種における農薬の効果的な使用方法の模索
- 雑草防除におけるアレロパシーの利用
- ガスプラズマ処理方法の改良と種子の生理的変化の解析
メッセージ
「わぁ、これおもしろい!」「これどうなってるの?」という疑問に答えを得るために皆さんと一緒にあれこれ知恵を絞って実験していければいいなと思っています。