官民協働海外留学支援制度「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」に黒澤 拓斗さん(共同獣医学課程4年)が選ばれました。
本プログラムは,日本人学生の海外留学促進・グローバル人材の育成を図るため国と企業が連携し,平成26年度に創設された海外留学奨学金制度(給付型)です。
従来の奨学金制度とは異なり,学問留学だけでなく,インターンシップ,ボランティアやフィールドワーク等単位認定できない活動も対象となっており,学生自身が主体的に留学計画を立案することが可能となっているほか,将来の日本に求められる資質や能力を伸ばすため,各界及び企業のリーダーによる指導を受けることができます。
今回の募集では,全国260校の大学等から1,939人の応募があり,書類による1次審査,面接による2次審査を経て,最終的に608人が選ばれました。
今回選ばれた黒澤さんは,このプログラムが始まってから本学で5人目となります。黒澤さんは,日本の獣医学教育では学ぶ機会の少ない,野生動物,特に霊長類の医学や管理学を学ぶことを目標として,10月から来年3月の約6ケ月間,中央アメリカベリーズのNPO法人であるWildtracksで,無休のインターシップ生として,密猟によりけがをした絶滅の危機に類する霊長類であるユカタンクロホエザルや中央アメリカクモザル等の霊長類を治療し,リハビリして自然に帰す仕事と,森に帰った霊長類がきちんと適応しているかどうかの野外調査も行い,野生動物,特に霊長類の治療法やリハビリの技術を学ぶ予定です。
9月1日(金)には,第6期生として採用になった直井 麻里奈さんと共に奥田 潔学長へ選考された報告と海外での活動予定の報告をしました。
黒澤さんは,「本格的に野生動物を学び始めたのは,大学2年の春期休暇時にボルネオのスタディーツアーに参加したのがきっかけでした。そこでは,今まで見たことのないような大自然が残っている一方,パームオイルプランテーションによる環境破壊がかなりのスピードで進んでいました。そして,自分も日本でパームオイルを消費することで,この環境破壊に加担していることを気付かされ,衝撃を受けました。霊長類について,いろいろ学ぶと,約500種のうち,60%が絶滅の危機,75%が個体数の減少という状況の一方,日本では,ニホンザルの個体数の増加により人との軋轢が生じていることを知りました。これらの現状を踏まえ,霊長類の治療,生態,繁殖,管理,保全等の全ての分野を網羅した霊長類獣医師の必要性を感じ,まずは自分の一番興味のある保全の現場を現地で見てみたいと思い,今回の留学を計画しました。将来的に,人の手により追い込まれている野生動物を少しでも多く救い,後生に残すことに尽力したいです。」と抱負を語ってくれました。