令和8年度地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)において、帯広畜産大学の研究課題が採択されました。
SATREPSは、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)と独立行政法人国際協力機構(JICA)が連携する地球規模課題を対象としたプログラムで、開発途上国のニーズをもとにした国際共同研究と、その成果の社会実装を推進するものです。
研究課題名 :繁殖障害性原虫病の疫学的監視と制御を通じた家畜生産性向上
研究代表者名 :西川 義文 教授(帯広畜産大学 原虫病研究センター)
研究期間 :2027年度から5年間
相手国名 :アルゼンチン共和国
相手国研究機関名:ラ・プラタ国立大学
研究課題の概要
本研究は、アルゼンチンで家畜の繁殖に支障をきたす原虫病(トキソプラズマ症・ネオスポラ症)に対し、診断方法と監視の仕組みを整え、国際基準に沿った持続可能な監視体制を確立し、動物衛生・公衆衛生・畜産の生産性・地域社会福祉の向上を目指す。具体的には、(1)全国の家畜について最新の感染流行状況を把握し、管理の方法や地域の特徴を統計的に分析することで、リスクを明らかにする。また、(2)迅速・安価・信頼性の高い診断キットを開発し、品質を保つための精度管理の方法も整備する。さらに、(3)検査室のネットワークで共通に運用できる診断マニュアル、症例報告の書式、データの管理・フィードバックの手順を作る。加えて、(4)科学者、獣医師、技術者を育成し、技術を現場に導入することで、診断と予防の実践力を強化する。これらの取り組みにより、対象地域の繁殖障害の発生率を低減することを目指す。
なお、2026年度は暫定期間として、外務省と相手国政府との国際約束の締結、JICAによる相手国機関との協議などを経て、2027年度から正式に共同研究を開始する予定です。
西川義文教授コメント
アルゼンチンは農畜産業が経済の柱であり、牛肉・乳製品などの畜産物の生産は世界的に重要な地位を占めます。しかし、繁殖障害性原虫病(トキソプラズマ症・ネオスポラ症)は家畜の流産や死産を引き起こし、畜産業に甚大な経済的損失を与えています。本研究計画は、アルゼンチンのラ・プラタ国立大学獣医学部免疫寄生虫学研究室(LAINPA)との共同により実施します。LAINPAと原虫病研究センターとの交流は約30年前に開始され、その後、原虫病研究分野において双方が独自に発展してきました。本研究課題では、両者の強みを活かし、アルゼンチンのトキソプラズマ症・ネオスポラ症の診断法と監視体制の開発・改善を通じて、国際基準に沿った「繁殖障害性原虫病の疫学監視システム」を確立し、動物衛生・公衆衛生・畜産生産性・地域社会福祉の向上に寄与することを目的としています。