第74回畜産学部学位記授与式、第65回別科酪農専修修了証書授与式、第58回大学院畜産学研究科学位記授与式が、3月19日(木)午前10時から講堂において、挙行されました。
今年度の卒業生は学部卒業生248名及び博士前期課程修了生60名に学位記が、別科修了生12名に修了証書がそれぞれ代表者に授与されました。また、博士後期課程修了生9名、博士課程修了生3名にそれぞれ学位記が授与されました。
次いで長澤学長から告辞が述べられたのち、北海道国立大学機構の長谷山彰理事長による祝辞映像が放映されました。来賓祝辞では、ご臨席いただいた帯広畜産大学同窓会会長の三津原勝様からお祝いの言葉をいただきました。
その後、卒業生を代表して共同獣医学課程の小堀玲奈さんによる答辞がありました。
続いて学生表彰があり、学業成績優秀者8名に表彰状の授与並びに学生後援会から記念品の贈呈が行われました。
最後に、来賓・教職員紹介があった後、マンドリンサークルによる帯広畜産大学逍遥歌が演奏され、卒業生、修了生が退場し、式が終了しました。
告辞
本日ここに、関係各位のご臨席をいただき、令和7年度の学位記並びに修了証書授与式を挙行できますことは、本学にとりまして大きな喜びです。
それぞれの課程を修了され、本日、この式典に臨むことができますのは、皆さん自身が努力を重ね、それぞれの課題を克服した結果です。
留学生の方々は、環境や文化の違う地おいて、さらに苦労が多かったと思います。卒業あるいは修了の時を迎えられた、すべての皆さんに、心からお祝いを申し上げます。また、ご家族の皆様には、感慨もひとしおのことと推察いたします。誠におめでとうございます。
さて、皆さんが本学に入学された動機を思い出してください。
本学の教育研究内容、あるいは本学が取り組んでいる様々なプログラムに興味を持った方、動物や植物が好きで本学を目指した方、雄大な北海道の自然環境の中で学生生活を過ごしたい、あるいは、本学のサークル活動に興味をもって、入学された方もいると思います。皆さんの入学動機に対して、納得のいく、
満足した学生生活を送ることはできたでしょうか。
本学のミッションは、「知の創造と実践によって実学の学風を発展させ、『食を支え、くらしを守る』人材の育成を通じて、地域及び国際社会に貢献すること」です。
皆さんがこれまで経験された学生生活において、「食と農」の大切さ、動植物の命の尊さを心得た素養を基礎として、いわゆる「Farm to Table」の幅広い領域を学際的視点で捉える能力と、あらゆる現場に適応できる知識・実践力を有するとともに、地球規模課題解決等の国際的視野を備えたグローバル人材として、知識や技術だけでなく、人間的に大きく成長されたことと思います。
大学院進学以外の多くの皆さんは、これから社会人として大学を離れます。皆さんが進まれる道は、順風満帆であってほしいと願うばかりですが、今日、我が国を取り巻く環境は、誠に厳しいものがあります。
15年前の東日本大震災以降、自然災害は後を絶ちません。加えて、グローバリゼーションの進展、高次な成熟経済社会への転換、少子高齢化社会への移行、情報通信の高速化などの課題に直面しています。
ここ数年の出来事を振り返りたいと思います。まず、新型コロナウイルス感染症は、我が国では、6年前に初めての感染者が確認され、その後、全国に広がりました。このパンデミック感染症の影響は、私たちに様々な影響を与え、日常生活が大きく変容しました。学生生活においては、対面による授業が遠隔教育に代わり、課外活動に制限がかかりました。
しかし、オンデマンド教育により講義の理解が深まり、テレワークにより、通勤時間が節約されるとともに、あらためて、対面による人間関係構築の重要性を知る機会となりました。
次に、気候変動については、皆さんも実感していると思います。昨年2月に帯広では、観測史上最大となる一晩で124cmの積雪がありました。一方、夏の暑さは、本学において40度に届くほどとなりました。エアコン設置の要望にも関わらず、予算の都合がつかず、整備は来年度以降となることをお詫びします。
自然と向き合う産業である農業において、積雪は耕作期間が限定され、ビニールハウスなどの農業施設に被害をもたらす一方で、白いダムとしての貯水の機能や、作物を凍結から防ぐ、断熱材としての利点があります。また、気温の上昇により、今までの気候では栽培できなかった品種や亜熱帯果樹などを栽培することが可能となるなどのポジティブな面もあります。
そのほか、日本では少子高齢化による生産人口の減少や地方創生が課題となっています。北海道における2050年の人口予測では、北海道全体が26.9%減の382万人であり、比較的人口を維持すると言われている都市の第一位が札幌市で11.5%減の174万人、そして、第二位の帯広市は21.8%減の13万人という衝撃的な数字です。
しかし、資源不足の我が国に置いては、人口減少はアドバンテージになるとの考えがあります。
また、十勝帯広は、選ばれる地方として、地域未来戦略による地方経済の活性化が期待されます。
このように、様々な課題や困難を悲観するのではなく、いわゆる、「ピンチをチャンスに」あるいは「災い転じて福となす」と受け止め、ポジティブに捉えることが重要です。ポジティブ思考は、単に前向きに考えることではありません。現実を直視し、ネガティブ面も考慮した上で、建設的な解釈に変換し、行動することが重要です。
地球規模では、世界の人口は増加し続けています。人口の増加に伴い、エネルギー問題や食料安全保障が課題となります。その結果、森林の減少、砂漠化が進み、環境破壊が問題となっています。
これらの地球規模課題の解決には、本学の専門分野である、農学、畜産科学、獣医学分野を含む、異分野を統合した有機的な取り組みが必要であり、あらためて、本学が掲げる「食を支え、くらしを守る人材の育成」の重要性が認識されるところです。
最後になりますが、この卒業・修了という節目に当たり、皆さんに期待を込めて申し上げます。今後、遭遇する想定外の事柄や、困難な課題に対し、決してあきらめず、自らのアイディアと努力で、真っ向から立ち向かい、ポジティブ思考で課題を解決し、社会を牽引してください。
本日、卒業あるいは修了を迎えた皆さんが、「Farm to Table」の様々な分野において大いに活躍し、地域社会や国際社会に貢献することを祈念して、告辞といたします。
令和8年3月19日
帯広畜産大学長
長澤 秀行





