令和7年8月29日(金)に、帯広畜産大学で開催された日本産業動物獣医学会(北海道)において、山本隆人さん(共同獣医学課程6年、指導教員:南保泰雄教授)が奨励賞を受賞しました。
この賞は、発表内容および質疑応答などを審査会で審議し、特に優れた発表を行った学生に対して授与される賞です。
山本さんの発表演題は、「北海道和種馬およびその交雑種における経膣卵子吸引採取の成績」です。
日本在来馬の1品種である北海道和種馬は小柄な体格と温厚な気性から乗馬に適していますが、現在飼養頭数は減少しています。山本さんの研究テーマは、牝馬の卵巣から超音波ガイドにより卵胞液と卵子を吸引採取し、体外で胚を作成することを可能にする技術です。本研究では、北海道和種及びその交雑種の牝馬10頭を用いて経膣卵子吸引採取を計28回実施し、この技術の成績を左右する要因について解析しました。その結果、延べ28頭から合計750個の卵胞を安全に吸引し、その中から10個の移植可能な胚を得たこと、卵子提供牝馬の血中エストラジオール濃度と卵子採取数には負の関係が見られ季節を問わず採取できることがあきらかとなりました。さらに、冷凍保存後胚移植を試みた4つの胚のうち1つの胚が受胎し、健康な子馬が出生しました。このような研究技術の開発により、北海道和種馬をはじめとする希少な日本在来馬の生産に道筋をつくることができました。
受賞にあたり、山本さんは、「研究室が続けてきた乗馬生産技術の研究をこのような形で評価していただきとても嬉しいです。引き続き日本の馬産業を発展に貢献できるような研究をしていきたいです。」と喜びを語りました。
また、来年9月に行われる「令和8年度北海道獣医師大会」において受賞式が行われる予定です。
