第69回学部学位記授与式,第60回別科修了証書授与式,第53回大学院学位記授与式が,3月19日(金)午前10時から講堂及び講義棟大講義室において,挙行されました。
奥田学長から,学部卒業生246名及び修士・博士前期課程修了生39名に学位記が,別科修了生18名に修了証書がそれぞれ代表者に授与されました。また博士後期課程5名には学位記が授与されました。
学長による告辞のあと,ご臨席いただいた帯広畜産大学同窓会会長の西田譲様から祝辞をいただきました。
その後,卒業生代表の米田英里奈さんの答辞がありました。
続いて学生表彰があり,今年度は新型コロナウイルス感染症対策のため,式典の規模を縮小して実施したため,表彰状授与は行いませんでしたが,学業成績優秀者の氏名が読み上げられ会場からは拍手がありました。
最後に帯広畜産大学逍遥歌が流れるなか,卒業生,修了生が退場し,式が終了しました。
告辞
このたび晴れて卒業・修了する学生諸君は,本日の学位記授与式を心待ちにされていたことと思います。本来であれば,全学の教職員に加え,ご家族をはじめとする,これまで皆さんを支援してこられた方々のご参加のもとに学位記授与式を挙行し門出をお祝いするところですが,新型コロナウイルス感染症に対する危機管理上の判断から卒業生と修了生のみの参加とし,さらに二会場に分散して開催する事としました。一堂に会して開催する事ができず大変残念に思います。苦渋の決断ではありましたが,皆さんの健康を最優先しての判断であることをご理解ください。
この一年余り,コロナ禍という未曾有の事態の中,大学は非日常の教育形態を取らざるを得ず,研究においても課外活動においても同様で,学生諸君には大変な苦労をかけたことと思っています。そうした状況下においても努力を重ねられた結果,畜産学部,大学院畜産学研究科,別科草地畜産専修のそれぞれの課程を修められ今日という日を迎えられたのは,多くの課題や困難を克服した皆さんご自身の努力の賜物であり深く敬意を表します。留学生の皆さんは,環境や文化の違う地において,さらに苦労が多かったことと思います。卒業あるいは修了の時を迎えられたすべての皆さんに,帯広畜産大学を代表して心からお祝いを申し上げます。
また,これまでさまざまな形で支援してこられた,ご家族の皆様,関係各位の皆様には,感慨もひとしおのことと拝察いたします。心よりお慶びを申し上げます。また,今日まで熱心に指導して下さった先生方,また学業や生活に必要な支援をして下さった職員の方々にも,この場を借りましてお礼を申し上げます。
本年度の帯広畜産大学の学部卒業生は246名,別科修了生18名,大学院修了生44名,総勢308名であります。そして,そのうち9名の外国人留学生が卒業・修了を迎えられました。帯広畜産大学の名のもとに,これからの日本を支え,世界に羽ばたく308 名の人材を社会に送り出すことは,学長として大きな誇りです。
学部,大学院,別科を問わず,皆さんは実学を基調とする本学で幅広い知識や技術を修得するとともに,これから直面する様々な課題に取り組むための知識とともに困難を乗り越える術を身に付けてこられたました。さらに,皆さんは,学業だけでなく,アルバイトや国内外でのボランティア活動,またサークル活動などを通じて,異なる価値観を持った仲間たちと語り合い共に行動する事によって自己を磨くとともに,人生の糧となる多くの友人や相談できる仲間を作ってこられたことと思います。これからの進路は様々だと思いますが,就職あるいは進学を問わず,いずれの社会においても,これまでと異なり自ら決断しなければならない場面が増え,責任ある言動が求められます。
皆さんのこの一年余りは,計画していた行動の多くが制限され,コロナ禍に翻弄された1年であったと思います。しかし,皆さんはコロナ禍に遭遇しながらも,今日を迎えられました。そうした皆さんへの「はなむけ」に偉人達の幾つかの言葉を紹介したいと思います。
アメリカの著作家であるエラ・ウィラー・ウィルコックスは,人生を航海にたとえ,「吹いている風が同じでも,ある舟は東へ行き,ある舟は西へ行く。進路を決めるのは風ではなく,帆の向きである。」という言葉を残しています。私は,「風を周りの環境」,「帆の向きを自分の努力」と理解し,「人生の航海において,進路を決めるのは周りの環境ではなく,自分の努力である」と読み取りました。長い人生において,恵まれない時代は誰にでもあり,その時代をいかにポジティブに転換するかが人生の価値を決定づけると教えています。
また,ホンダの創業者である本田宗一郎氏は,「耐える心に新たな力が湧くものだ。長い人生の中で,そのための一年や二年の遅れは,モノの数ではない」と述べています。自分の力だけではどうしようもない困難に遭遇した際,本田氏は,「〜だからできない」と嘆くのではなく,この状況で何ができるかを考え,「いまだからこそできること」に全力を傾けることが大切だと述べるとともに,「チャレンジした失敗を恐れるよりも,何もしないことを恐れろ」という言葉も残しています。「逆境をポジティブに捉え,耐える心をエネルギーに換えて,その時だからこそ成し得た」と振り返るチャレンジフルな人生を送っていただきたいと思います。
本学の卒業生はこれまで約一万七千人が国内外の「生命,食料,環境」の分野で,多彩な活躍をされています。全国各地の同窓会支部には,様々な職種,幅広い年齢の同窓生が集い,皆さんが過ごされた十勝・帯広あるいは大学時代の思い出話に花を咲かせ,楽しい時間を共にされています。
私は全国で開催される同窓会に参加してきました。どこでも実感するのは,同窓生の皆様が母校への熱い思いを持ち続け,母校の益々の発展のために応援してくださっていることです。今日,皆さんが本学同窓会の仲間になられることを,学長・同窓会名誉会長として心から歓迎するとともに,これから活躍される地域にある同窓会支部に参加し,同じキャンパスで過ごしたファミリーとして母校を応援してくださるようお願いいたします。
卒業は,大学との別れではありません。大学は,さらなる知識を得る場,学び直しの場として皆さんの近くに在り続けます。卒業した皆さんが社会で直面する様々な課題をともに解決する時こそ,新たな協働の始まりとなり,大学の発展にもつながります。どうぞ,皆さんにはこれからも本学と積極的に関わりを持ち続け,本学卒業生であることを活用していただきたいと思います。
今日を迎えられた皆さんひとりひとりに,今一度お祝いを申し上げるとともに,『これからの人生において,いかなる困難に直面しても本学在学中に得た様々な知識や経験をもとに果敢に挑戦し続け,前向きに歩みを進めてください!』とエールを送り,告辞といたします。
令和3年3月19日
帯広畜産大学長
奥田 潔