3月25日(日)から27日(火)まで鹿児島大学で開催された第62回日本応用動物昆虫学会大会において,畜産科学課程植物生産科学ユニット4年の石倉 鈴風さんがポスター賞を受賞しました。
日本応用動物昆虫学会は1957年に日本応用動物学会(1929年設立)と日本応用昆虫学会(1938年設立)が合併して設立され,約1800名の会員を擁しており,大会参加者も千名を超える国内最大級の昆虫学分野の学会です。今回の発表では研究内容の独創性や質疑応答への対応等が高く評価され,博士・修士大学院学生を含む115演題のポスター発表の中から学部4年生の石倉さんが受賞者に選ばれました。
石倉さんの演題は「昆虫寄生菌Lecanicillium spp.が2種コナジラミ卵の孵化及び孵化幼虫に与える影響」で,昆虫に寄生する昆虫寄生菌を用いたコナジラミの微生物防除に関する研究成果です。これまで,昆虫寄生性のLecanicillium属菌はコナジラミ類の成虫や幼虫に寄生して殺虫することが知られておりましたが,コナジラミ卵に対する寄生性に関してはその見解が分かれておりました。そこで,コナジラミ卵に対する影響にフォーカスした研究を実施した結果,Lecanicillium属菌は2種コナジラミの卵に寄生して殺卵し,孵化直後の幼虫も即時に殺虫することが明らかになりました。これらの研究によって,コナジラミの卵が新たな標的ステージとして組み込むことが可能であり,特に卵を標的に昆虫寄生菌を施用することで作物に被害が出る以前に防除するような,予防的防除技術の確立が期待されます。
石倉さんは,「この度はこのような賞を受賞できたことを大変嬉しく光栄に思うとともに,ご指導頂いた多くの方々に深く感謝いたします。今回の研究では,これまで注目されてこなかった卵に焦点を当てることで,コナジラミ防除における新たな可能性を見出すことができました。今後は国内だけでなく世界にも目を向けて,より一層研究に励んでいきたいと思います。」と受賞の喜びを語りました。

