食料の安定供給・食の安全確保・感染症の制御は、21世紀に解決すべき重要課題です。動物の感染症を制御できれば、動物の健康確保を通して動物由来食品の安定供給につながります。また、病原体の多くは動物から人へ感染します。動物の段階でそれら感染症を制御できれば、動物から人への直接感染のみならず、動物由来食品を介した感染も防ぐことができるのです。
食料の安定供給・食の安全確保・感染症の制御は、21世紀に解決すべき重要課題です。動物の感染症を制御できれば、動物の健康確保を通して動物由来食品の安定供給につながります。また、病原体の多くは動物から人へ感染します。動物の段階でそれら感染症を制御できれば、動物から人への直接感染のみならず、動物由来食品を介した感染も防ぐことができるのです。
「産業動物」と呼ばれる牛や馬たちは、人間のために牛乳や肉、娯楽を提供してます。彼らの生産寿命を伸ばすべく、疾病の詳細な情報の収集、治療に対する反応の評価などを通じて、より有効で安全な治療法の確立を目指しています。
肉用牛の飼料や管理、成長、肉質・肉量の関係を超音波診断技術や血液成分を活用し一体的に検討し、その牛の能力を十分に発揮させる飼い方を見つけ出します。また、地域の使われていない資源を使って地域特産牛肉の生産を目指します。
帯広畜産大学構内には多くのエゾリスが生息しています。リスが自由に生活できるキャンパスの環境はすばらしいのですが、そうであるための理由がちゃんとあります。リスが生きていくための餌、巣、そして安全に移動できる経路が無ければ、リスはいなくなってしまいます。私たちは、動物のいる理由を調べて、動物がいなくならないようにそれを保つ研究をしています。
物理学の法則を使うと、さまざまな自然現象を調べることができます。近年、経済活動から日常生活に関わるものまで、あらゆるものがデータ化されるようになり、そうした自然現象とは無関係と思われるデータも、実は物理法則で調べられることがわかってきました。物理学を学ぶ際の学習データを対象にして、その物理学的ふるまいを調べる研究に取り組んでいます。
本学の動物・食品検査診断センターは、食品衛生検査の分野で国内唯一の大学内国際規格(ISO/IEC 17025認定)を取得しています。私達はこの検査精度の高い検査室を利用し、農畜産物の安全性をアピールすることで、国産食品の国際競争力強化に貢献したいと考えています。
家畜動物に発熱や貧血などの消耗性疾患を引き起こす牛ピロプラズマ病は、世界で深刻な経済的被害をもたらしています。制圧するために私達は、分子疫学調査による実態把握、媒介者であるマダニの調査、汚染国に合わせたワクチンの開発などを行っています。また合わせて国際的共同研究ネットワークの構築にも積極的に取り組んでいます。
私達は、マダニがどのようにして生存・発育し、吸血を行い、繁殖し、また、ヒトと動物に原虫などの様々な病原体を媒介するのか、それらの仕組みを解明するための基礎研究を進めています。新たなワクチンや殺ダニ剤の開発研究へと繋げることを目標に、マダニの「弱点」を一つでも多く発見し、畜産資源の確保、食糧の安定供給に大きく貢献したいと考えています。
高収量かつ環境負荷の少ない農業を実現するためには、土壌固有の養分や水分の保持力を把握し、適正な栽培管理をすることが大変重要です。私達は地質学的な知見を考慮しながら、その土地の成り立ちを解明し、地域ごとの土壌の物理性、化学性の状態を明らかにし、その地域で利用できる作物栽培システムの構築を目指しています。
ウマの生殖機能調節やホルモンの作用、診断法の開発に関する研究を行なうとともに、繁殖牝馬の生産管理上の諸問題について調査、研究に従事しています。地域に密着した馬産業への貢献を目指すとともに、馬を通じた教育・研究・社会貢献を推し進めることが今後の課題です。
2001年に施行された「情報公開法」によって、日本政府内部の文書が閲覧可能になり、それまで分からなかった省庁内部の動きを把握することが可能になり、政策過程が明らかになってきました。私の専門は、外交史料分析で、特に1960年代の日本とキューバの関係を物語る「砂糖外交」を研究しています。
「誰かに雇われて給与を得る」という働き方は、法的には「契約関係(雇用契約)」として成り立っています。「働くこと」に対する法の規律の歴史をたどると、人々の働き方やそれを取り巻く社会の移り変わりが読み解けます。こうした問題関心から、特に日本およびフランスにおける、近世以前の身分的な支配関係から近代の契約による雇用関係への移行について、法史学の観点から研究しています。また、現代の労働者の多様化と労働法の転換についても関心をもっています。
中学校技術科など、技術教育は「技術および労働の世界への手ほどき」であり、学校教育の不可欠な構成要素として国際的に位置付けられています。しかし、日本では国際的にみて非常に貧弱な現状にあり、この問題を歴史的視野から研究しています。また、研究から得た知見は、教材の開発や、子どもの発達課題、教育条件整備問題等々につなげています。
「性格」とか「パーソナリティ」といった概念は日常的にもよく使われますが、心理学的に使うときにはさまざまな理論的問題があります。私たちは他人や自分の何を見て「性格」をとらえているのでしょうか。また「性格」からその人の行動はどのくらい予測したり説明したりできるのでしょうか。こうした問題を心理学の歴史や研究法と関連づけながら分析しています。
身体運動を主活動とした地域コミュニティの育成的運営をテーマとし、児童や大人を対象とした体操コミュニティ「ちくだいKIP」を創設しました。現在総会員数は約400名となっています。このようなコミュニティビジネス(市民が主体となって、地域が抱える課題をビジネスの手法により解決する事業)の実践と運営方法の研究を行っています。
バレイショの野生種には病気や害虫に強い性質を持った種や、色や形や味などとても変わったものが多く存在しています。しかし、その価値を品種改良になかなか活かせていません。そこで、野生種の持つ有用な形質を栽培種へ導入する研究をしています。また、収量やデンプン含量と関連がある遺伝領域を探し、遺伝子のレベルから農業形質の向上を目指しています。
「スペルトコムギ」という小麦の古い在来品種は、不良環境への適応能力など近代の小麦にはない優れた特性を持っていることが分かってきました。また、パンにしたときの独特の味や香り、高い栄養価から現在再び栽培が広がっています。私たちは、「スペルトコムギ」の遺伝資源としての価値を再評価し、大学発の新たなパン用コムギ品種の開発にチャレンジしています。
十勝地方では、古くからコムギ、甜菜、豆類、馬鈴薯の4つの作物を基幹とした安定的な輪作が行われていました。一方で、これらの作物に加えて新たな作物を栽培したいと考える農家も少なくありません。私達の研究は、世界中に存在する作物の中から、利用価値が高く、経済的な利益をもたらしそうな品種を見つけ出し、十勝への導入を試みようというものです。
農業経営は天候や災害、作物や家畜の病気といった自然環境のリスク、政策変更や価格変動、経営者の健康リスクなど様々なリスクに対処する“リスクマネージメント”の必要があります。私達は今の畜産業の経営に合った共済制度や保険制度の見直しを海外の事例などと比較しながら研究しています。
動物・人への伝播可能な人獣共通感染症は、裕福な国では根絶されていますが、貧困層を抱えた地域や国では未だ防げていません。このことは巡り巡って世界経済にも公衆衛生上も大きな影響があり、WHOは特に13種類の人獣共通感染症(NZD)を指定し対策の強化に乗り出しています。私達は医療の処方の如く経済学と獣医学をまたぐ経済疫学からの処方箋を研究しています。
日本で食べられているパンのほとんどは外国産小麦で作られいて、パンに合う国産小麦はなかなか生産されませんでした。しかし、ここ数年で次々と高品質な国産小麦が作られるようになり、遂に100%国産小麦のおいしいパンが市場に出るようになりました。私達は国産小麦の品質特性や加工方法などを研究し、国産小麦のおいしいパンを応援しています。
ヨーグルトやチーズなどの発酵食品の発酵過程で利用される乳酸菌は、漬物、みそ、しょうゆ、お酒などに使われている乳酸菌と同様に、人々の身近なところに生息しています。私達は安全でおいしい食品の製造につながるような新しい乳酸菌の株を地元で探索し、地域の特色ある加工食品を創出したいと考えています。
できる限り快適な環境で飼育することでストレスや疾病を減らし、家畜の暮らしをよくすることをアニマルウェルフェアと言い、取り組む生産者が増えてきています。従来のように家畜の生産性や生産効率だけを追求するのではなく、良質な飼料や水、飼育環境を整え、健康に飼うことが、新しい価値になるように研究をすすめています。
野生動物、家畜、動物園や水族館の生き物など、死んだ動物を解剖して、細胞、器官、骨格などの機能的な働きを分析しています。特に繁殖に関する生殖腺と胎盤の発生を研究中。また、臨床解剖学的データの蓄積を行い、現場の獣医師や獣医師を目指す学生をバックアップするプロジェクトを始めています。生物は死してなお多くを語ってくれます。