動物も人と同じように病気になります。そして、動物と人の病気には似ているところもあれば、まったく違うところもあります。では、なぜ動物と人は同じような病気になるのでしょうか? 逆に、なぜまったく違う病気になることもあるのでしょうか? こうした「動物と人の違い」に目を向けて研究できることが、「獣医病理医」の大きな強みだと思います。獣医病理の世界では、牛・馬・豚といった家畜、犬・猫・うさぎなどのペット、さらにはカエルや魚、虫など、さまざまな動物を対象に病気の研究をします。それぞれの動物がなぜ病気になったのか、なぜ命を落としてしまったのかを、病理解剖や顕微鏡での観察を通して、「自分の目」で直接見て調べていきます。病気の原因は、簡単にはわかりません。しかし、少しずつでもその謎が明らかになれば、これから病気になる動物たちを助けることができるかもしれません。そして、動物の病気を知ることが、人の病気を理解する手がかりになることもあるのです。
さまざまな動物の病気の「なぜ?」を追い求め、その先にある真実を探り、将来にバトンを渡す。それこそが、獣医病理学という研究分野の大きな魅力だと思います。
この文を書いた人 | 吉田 希央 助教 |
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所属 | 研究域/獣医学研究部門/基礎獣医学分野/形態学系 |