共同利用共同研究拠点事業 「マダニバイオバンク整備とベクターバイオロジー新展開」(2017年度~2021年度)

マダニは原虫病を媒介する重要な節足動物の一つです。畜産業においては,マダニによる経済的損失の大きさから,的確な対策が常に求められています。マダニは動物だけではなく人でも吸血し,様々な病原体を媒介します。北海道においては,ライム病,ダニ媒介性脳炎の発生が報告されています。

原虫病研究センターでは,国内外のマダニとマダニ媒介感染症対策法の開発研究に貢献するため,平成29年度より「共同利用・共同研究拠点事業 マダニバイオバンク整備とベクターバイオロジーの新展開」(通称“マダニプロジェクト”)を推進しています。本プロジェクトでは,マダニの鑑別・繁殖・供給システムから遺伝子情報までを網羅した日本初のマダニバイオバンクを整備し,マダニに特化した国際的共同研究拠点を形成することを目指しています。また,外部研究機関や民間企業との共同研究・受託研究,各地域におけるマダニ分布調査,原虫等の病原体保有調査を実施しています。広報活動,各種イベントの開催を通じ,マダニ学の普及にも努めています。

マダニ紹介動画

マダニの生態を紹介する内容のため,多数のマダニ,マダニの産卵・吸血時等の映像が含まれています。
ご留意ください

リーフレット【PDF】

「屋内にいるダニとマダニは違うの?」「マダニはどんな病気をうつすの?」「病原体はマダニのどこにいるの?」といった疑問やマダニの生態を写真やイラストで分かりやすく解説しています。

帯広畜産大学各術情報リポジトリ(OAK)にて、英語版・日本語版を公開しています。

Tokachi Tick Encyclopedia (English)
帯広畜産大学学術情報リポジトリ(OAK) Tokachi Tick Encyclopedia ページはこちら

とかちマダニじてん(日本語)
帯広畜産大学学術情報リポジトリ(OAK)とかちマダニじてん ページはこちら

研究用マダニコロニーを維持しています

原虫病研究センター研究資源リストページにて,当センターが保有し,共同研究に供することが可能なマダニ株等のリストを公開しています。

原虫病研究センター研究資源リストページ

※飼育状況および契約内容により、ご希望の数のマダニを提供可能になるまで数カ月かかる場合があります。また、準備に係る経費のご負担をお願いしておりますので、予めご了承ください。

研究資源としてのマダニの受入も行っています。ご提供頂いたマダニを当センターにて維持・保存いたします。

マダニの分与・受入等に関するお問い合わせはこちらまでお願いいたします。

フタトゲチマダニ臓器別完全長ESTデータベース

2019.07.02

フタトゲチマダニ臓器別完全長ESTデータベースの構築は、生物系特定産業技術研究支援センター 新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業「マダニの生存戦略と原虫媒介のinterfaceに関する分子基盤の解明(2004~2008年度、研究代表者・藤崎幸蔵)」において実施されました
http://www.naro.affrc.go.jp/laboratory/brain/kisoken/result/2008/025236.html)。
EST取得のためのマダニ解剖ならびにサンプル調整には、以下のメンバーが参画しました。

阪口岳志 Takeshi Sakaguchi
周金林 Jinlin Zhou
白藤(梅宮)梨可 Rika Umemiya-Shirafuji
田中みほ Miho Tanaka
Damdinsuren Boldbaatar
Huey Shy Chee
Thasaneeya Harnnoi (Thasaneeya Kuboki)
八田岳士 Takeshi Hatta
Battsetseg Badgar
廖敏 Min Liao
(敬称略、五十音順)

 

現在、唾液腺EST「HlSg full-length cDNA library」が公開されています。
HlSg full-length cDNA library:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/biosample/3459113
こちらのページの”Nucleotide“をクリックすると配列情報が出ます。
登録済みの8,471配列は、フタトゲチマダニ(単為生殖系)雌の吸血4日目に採取した唾液腺をサンプルとして得られたものです。

他臓器のESTについては順次公開予定です。

フタトゲチマダニ(単為生殖系)の臓器別ESTを公開しました

2021.09.14

掲載論文:
Umemiya-Shirafuji R, Zhou J, Liao M, Battsetseg B, Boldbaatar B, Hatta T, Kuboki T, Sakaguchi T, Chee HS, Miyoshi T, Huang X, Tsuji N, Xuan X, Fujisaki K. Data from expressed sequence tags from the organs and embryos of parthenogenetic Haemaphysalis longicornis. BMC Res Notes 14, 326 (2021).
https://doi.org/10.1186/s13104-021-05740-3

以下のリンクより、各配列のBLASTXによる相同性検索結果をダウンロードすることができます。

脂肪体
Accession numbers: HY961648-HY969032
Data file 1_ESTs_Hl_Fat Body (Umemiya-Shirafuji et al.).xlsx
http://doi.org/10.24556/00004700

ヘモリンフ
Accession numbers: HY969033-HY977335
Data file 2_ESTs_Hl_Hemolymph (Umemiya-Shirafuji et al.).xlsx
http://doi.org/10.24556/00004701

中腸
Accession numbers: HY977336-HY984720
Data file 3_ESTs_Hl_Midgut (Umemiya-Shirafuji et al.).xlsx
http://doi.org/10.24556/00004702

卵巣
Accession numbers: HY984721-HY993015
Data file 4_ESTs_Hl_Ovary (Umemiya-Shirafuji et al.).xlsx
http://doi.org/10.24556/00004703

唾液腺
Accession numbers: DC574924-DC583394
Data file 5_ESTs_Hl_Salivary glands (Umemiya-Shirafuji et al.).xlsx
http://doi.org/10.24556/00004704

発育胚
Accession numbers: HY953903- HY961647
Data file 6_ESTs_Hl_Embryo (Umemiya-Shirafuji et al.).xlsx
http://doi.org/10.24556/00004705

 

フタトゲチマダニEST関連論文はこちら

日本衛生動物学会学会誌「衛生動物」にマダニ研究に関するMini-reviewが掲載されました

2019.12.27

衛生動物学会 Mini Review集「シリーズ: ダニ研究の最前線とダニ媒介性感染症制
御の可能性を探る」に、以下の総説が掲載されました。

Hard ticks as research resources for vector biology: from genome to whole-body level
Umemiya-Shirafuji R, Fujisaki K, Okado K, Adjou Moumouni PF, Yokoyama N, Suzuki H, Inoue N, Xuan X.
Med Entomol Zool. 2019; 70(4): 181-188.
https://doi.org/10.7601/mez.70.181

本総説は、マダニのゲノム・トランスクリプトームなどのオミクス解析の国内外の現
状を概説し、研究資源としての実験室株(マダニコロニー)の重要性ならびに国内に
おけるマダニ研究の展望について述べたものです。

論文が掲載されました

2021.11.25

北海道十勝地方に生息するマダニ種に関する論文がCurrent Research in Parasitology & Vector-Borne Diseasesに掲載されました。

Molecular detection of Borrelia burgdorferi (sensu lato) and Rickettsia spp. in hard ticks distributed in Tokachi District, eastern Hokkaido, Japan.
Curr Res Parasitol Vector Borne Dis. 2021; 1: 100059.
https://doi.org/10.1016/j.crpvbd.2021.100059

本論文では、2017年に北海道十勝地方(7カ所)で採集したマダニを種同定し、各マダニのDNAサンプルを用いてボレリアおよびリケッチアの遺伝子を検出しました。十勝においては、「シュルツェマダニ」が、ヒトにおけるボレリア、リケッチア感染症の媒介リスクを有する主要なマダニ種であることが2017年の時点で確認されました。

「Climate, Ticks and Disease」に寄稿文が掲載されました

2022.01.28

「Climate, Ticks and Disease」に以下の寄稿文がExpert Opinion(eo)として掲載されました。

Climate, Ticks and Disease (CABI)
Edited by: Pat Nuttall
eo27: Distribution, seasonal occurrence, and biological characteristics of Haemaphysalis longicornis, a vector of bovine piroplasmosis in Japan.
Umemiya-Shirafuji R.
2021 Nov: 183-187.
https://www.cabi.org/bookshop/book/9781789249651/

 

プロジェクト関連ニュース

Dr. Consuelo Almazánによる特別セミナーを開催しました

(論文発表)日本産フタトゲチマダニ(両性生殖系統)のドラフトゲノムを公開

オンライントレーニング(マダニ解剖-I)を開催しました

オンラインシンポジウムを開催しました

「Climate, Ticks and Disease」に寄稿文が掲載されました

論文が掲載されました

オンラインシンポジウムを開催しました 

フタトゲチマダニ(単為生殖系)の臓器別ESTを公開しました

鈴木丈詞先生による特別講演をオンライン開催しました

特別セミナーを開催しました

帯広の森サポーターの会「とかちのマダニ現地研修会」にて白藤助教が講師を務めました。

新聞に掲載されました

リーフレット「とかちマダニじてん」英語版 “Tokachi Tick Encyclopedia”を作成しました

日本衛生動物学会学会誌「衛生動物」にマダニ研究に関するMini-reviewが掲載されました

セミナーを開催しました(GONG Haiyan博士(上海獣医研究所、中国))

田島(後藤)彰 先生による講演を開催しました

フタトゲチマダニ唾液腺ESTに関する情報を掲載しました

田島(後藤) 彰 先生による講演「ショウジョウバエにおける抗ウイルスシグナル伝達経路 (dSTING-dIKKβ-Relish)および新規の抗ウイルスタンパク質Nazo(謎)の発見」のご案内

研究用マダニコロニーを追加しました

川瀬摂講師による講義を開催しました

藤﨑 幸藏客員教授による講義を開催しました

新聞に掲載されました

新聞に掲載されました

農研機構・動物衛生研究部門を訪問しました

研究用マダニコロニーを維持しています

帯広の森・はぐくーむ「森の講座~マダニについて~」にて白藤が講師を務めました

帯広の森・はぐくーむfacebookで当プロジェクトが紹介されました

マダニの生態を紹介する動画を公開しました

帯広畜産大学学術情報リポジトリ(OAK)にて公開しています

新聞に掲載されました

リーフレット「とかちマダニじてん」を作成しました