創薬研究部門

先端治療学分野

鈴木 宏志教授

発生工学的手法を駆使して,宿主・原虫のゲノム・遺伝子の機能を明らかにする原虫感染症の基盤研究,および発生・生殖工学の技術開発研究を推進しています。当研究分野では,宿主の生理機能を修飾することによる原虫感染症の予防・治療の可能性を探索しており,これまでに,ビタミンE転送タンパク欠損マウスを用いた解析から,宿主の循環中のビタミンE欠乏がマラリア原虫およびトリパノソーマの増殖抑制に働くことを証明しました。また,高脂肪血症剤として利用されているプロブコールにビタミンE低下作用があり,この薬物の投与がマラリア原虫の増殖を顕著に抑制することも明らかにしており,今後,臨床への応用を視野に入れた展開を考えています。さらには,マウスを対象とした発生・生殖工学技術を,盲導犬をはじめとする補助犬の育成にも応用して,社会貢献を果たしています。

コメットアッセイで観察された野生型マウスの赤血球に感染したマラリア原虫の核。
α-TTP欠損マウスの赤血球に感染した原虫のDNAは障害を受けて増殖できない。

西川 義文教授

原虫感染による脳神経系の機能異常や宿主動物の行動変化,流産や垂直感染のメカニズムに関する研究を行っています。また,炎症反応や免疫抑制を制御する原虫因子の同定と解析を進めています。これら科学的な知見を基盤に,多機能性リポソームを利用することでワクチン抗原を効率よくリンパ系組織へ輸送し,免疫担当細胞を効果的に刺激できる新型次世代ワクチンの開発を行っています。さらに,マウス感染モデルと自然宿主を対象にした感染実験により,ワクチンの実用化を目指しています。

主な研究課題
  • トキソプラズマ感染による宿主動物の異常行動の解析と中枢神経系の機能破綻メカニズムの解明
  • トキソプラズマ,ネオスポラ由来因子による宿主免疫撹乱メカニズムの解明
  • マラリア原虫による貧血,トキソプラズマ及びネオスポラによる流産の病態発症メカニズムの解明
  • 多機能性リポソームによる病原性原虫に対するワクチン開発
  • 天然物からの抗原虫薬の探索
  • ウシの下痢症に関連する腸内細菌叢の解析
西川研究室ウェブサイト