ウマ

ウマと聞くと、放牧地で牧草を食べながらのんびり暮らしている・・・そんなイメージを持たれる方が多いのではないでしょうか。しかし、あの大きな体を草だけでどのように維持しているのか、疑問に思ったことはありませんか?その秘密は、お腹の中にいる微生物が握っています。実は、ウマは主食である草を自身の力だけでは消化し、利用することができません。その役割を担っているのが微生物です。彼らはウマが食べた草を分解・発酵し、短鎖脂肪酸と呼ばれる栄養素に転換しています。ウマはこの短鎖脂肪酸を吸収して日々生活しているのです。ですが、微生物がウマにとって必ずしも有益な存在とは限りません。中には病気を引き起こすような厄介なヤツもいるから困ったものです。ですから、良い菌と悪い菌のバランスを望ましい状態に維持してあげることが大切です。「目に見えない場所」の「目に見えない生物」に「目を凝らす」、私の先生から教えてもらった言葉を胸に、これからも微生物を軸としたウマの福祉向上に向けて頑張っていきます!

この文を書いた人 矢野 琳太郎 特任助教
所属 研究域/生命・食料科学研究部門/家畜生産科学分野/生産管理学系