農家戸数や農業人口は減少傾向が続いています。一方で、1戸当たりの規模はどんどん大きくなっています。新しい技術を導入したり、経営内の組織を変更することで、どのような影響が生じるのかを分析しています。技術と経済性の両方からこうした課題に取り組み、今後の方向性を考えています。
農家戸数や農業人口は減少傾向が続いています。一方で、1戸当たりの規模はどんどん大きくなっています。新しい技術を導入したり、経営内の組織を変更することで、どのような影響が生じるのかを分析しています。技術と経済性の両方からこうした課題に取り組み、今後の方向性を考えています。
肉用牛の飼料や管理、成長、肉質・肉量の関係を超音波診断技術や血液成分を活用し一体的に検討し、その牛の能力を十分に発揮させる飼い方を見つけ出します。また、地域の使われていない資源を使って地域特産牛肉の生産を目指します。
十勝の広大な畑作地帯で働く大型のトラクタや作業機はパワフルで魅力的です。しかし、農家数の減少にともない増加する耕地面積を少ない人材で栽培するには、かしこく動く機械とそれを管理するシステムが不可欠です。最新のテクノロジーを駆使した先進的農業と環境保全を両立させる未来のスマートシステムを開発していきます。
本学の動物・食品検査診断センターは、食品衛生検査の分野で国内唯一の大学内国際規格(ISO/IEC 17025認定)を取得しています。私達はこの検査精度の高い検査室を利用し、農畜産物の安全性をアピールすることで、国産食品の国際競争力強化に貢献したいと考えています。
乳生産における最大の危害とは、牛乳に病原微生物や抗菌性物質などの異物が混入することです。病原微生物の感染によっておこる乳房炎は、これらの異物混入のリスクを格段に高めます。私達は乳房炎原因菌の簡便で迅速で正確な同定手法の確立や、抗菌性物質の慎重な使用法、また、乳房炎をコントロールする効果的な手段の開発に取り組んでいます。
妊娠末期の牛は胎子の急成長でルーメン(第一胃)が圧迫されて採食量が落ち、胎子や乳腺へのエネルギー供給のために異化代謝に変化してしまいます。過度な場合は、生まれてくる子牛にも分娩後の母牛にも悪影響を及ぼします。そこで、迅速な対応ができよう血液性状などから異常をリアルタイムで判断できる方法を研究しています。
ニワトリの産卵数、卵サイズ、卵殻色などの遺伝形質を決めている遺伝子機構を制御し、安定的な養鶏経営に貢献したいと考えています。また、鶏卵の味に関わる遺伝と環境要因を研究し、おいしい卵の開発も目指しています。
高収量かつ環境負荷の少ない農業を実現するためには、土壌固有の養分や水分の保持力を把握し、適正な栽培管理をすることが大変重要です。私達は地質学的な知見を考慮しながら、その土地の成り立ちを解明し、地域ごとの土壌の物理性、化学性の状態を明らかにし、その地域で利用できる作物栽培システムの構築を目指しています。
植物や動物の病気の多くは、昆虫を介して伝搬されます。これまで、このような媒介性害虫を防除することで動植物の病気を抑制してきましたが、殺虫剤抵抗性の発達により媒介性害虫の防除が困難になりつつあります。私たちは、生物防除や生物学的栄養強化などの方法を用いて、病原体を運べない昆虫や環境を作り出せないか研究を進めています。このように応用昆虫学の視点から「食」や「命」を守ることに貢献することを目指しています。
作物の生産を支える土壌を対象に、肥料を加えるばかりの「足し算」の方法から、土壌の潜在能力を引き出す「掛け算」の方法を研究しています。土壌の変化は周辺の水圏や大気圏などの生態系にも影響を及ぼします。人と自然が共生していくためには自然に対して負荷をできるだけ最小限に留め、かつ安全で高品質な食糧生産を持続する方法を見つけることが重要です。
十勝地方では、古くからコムギ、甜菜、豆類、馬鈴薯の4つの作物を基幹とした安定的な輪作が行われていました。一方で、これらの作物に加えて新たな作物を栽培したいと考える農家も少なくありません。私達の研究は、世界中に存在する作物の中から、利用価値が高く、経済的な利益をもたらしそうな品種を見つけ出し、十勝への導入を試みようというものです。
家畜のふん尿や生ゴミは作物育成に有効な有機肥料になります。しかし、不適切に管理すると逆に環境汚染の要因となってしまいます。そこで、適切なふん尿資源化と持続可能な循環システムを開発し、技能や技術を根付かせることも視野に入れた「環境と人にやさしい酪農体系」を構築したいと考えています。
雪氷・凍土は物や空間を冷やす冷熱源として利用でき、電気を使わず低温・高湿度の室内環境を創り出すことができる。この室内環境は農作物の長期貯蔵に最適であることから、寒冷な気候で農業が盛んな北海道において使わない手はありません。私は氷の冷熱を効率良く利用できるアイスシェルターシステムについて研究開発を行っています。
北海道でトラクタが導入されて約60年が経過し、農業機械の発達によって十勝の農業は我が国をリードする最先端の大規模農業に発展してきました。しかし、急速な少子高齢化による労働力不足は深刻で、大規模農業を維持、発展させるには無人トラクターのようなロボット技術を導入していくが一つの解決策だと考えています。
1軒の酪農家で家畜伝染病が発生した場合、地域経済全体に影響を及ぼす可能性があります。このような事態になる前に、緊急時の行動指針を地域で話し合っておくことで、実際に被害が起きた時に迅速かつ円滑な対応ができ、被害を最小限にできると考えています。では、どのような取り決めや訓練が必要なのか、私達は地域単位から産業単位まで包括的に研究しています。
農業経営は天候や災害、作物や家畜の病気といった自然環境のリスク、政策変更や価格変動、経営者の健康リスクなど様々なリスクに対処する“リスクマネージメント”の必要があります。私達は今の畜産業の経営に合った共済制度や保険制度の見直しを海外の事例などと比較しながら研究しています。
肉質は時間と共に変化し、人が食べておいしいと感じる“熟成”という現象が起きます。家畜の品種や温度の状態など様々な要因と熟成のメカニズムを研究しています。また、エゾシカやダチョウなどの野生動物を食肉資源とした場合の適切や熟成期間についても調べて、少しでも地元の生産者や生産に関係する人たちに貢献して行きたいです。
飼育環境や飼料、母体の栄養状態は、子の発育や大人になった時の繁殖性に関係しています。これは後天的な要因によって、発現する遺伝子に差が生じるからで、この研究分野を“エピジェネティクス”と呼んでいます。私達は家畜とヒトに共通な遺伝子発現調節メカニズムに着目し、特に周産期の母親の環境と子供の発達の関係を解明を目指しています。