昆虫は人間と同様,様々な病気にかかります。この昆虫にかかる病気を使って多様な害虫を防除することができます。皆さんが病気にかかったときに外食やデートに出かけないように,病気にかかった昆虫の行動も変化します。私がターゲットとしている害虫は,動植物に病気を媒介する昆虫(ベクター)で,昆虫寄生菌という昆虫の病気を使って防除することを目指しています。これらのベクターは,植物の汁液や動物の血液を吸うことで動植物の病気を媒介します。通常,ベクターを直接殺虫することで,動植物の病気の媒介を防ぐのですが,昆虫寄生菌にかかって具合が悪くなったベクターは行動が変化してこれらの病気を媒介できなくなります。つまり,生物としては生きているものの,ベクターとしてはすでに死んでいるゾンビのような生物を人工的に作り出すことができます。このような現象がどのようなメカニズムで起こるのかを明らかにすることで,より効率的なベクターの防除が可能になることが期待されます。
この文を書いた人 | 相内 大吾 准教授 |
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所属 | グローバルアグロメディシン研究センター/農畜産学研究部門研究域/環境農学研究部門/植物生産科学分野/植物生産科学系 |
関連リンク | 環境微生物学研究室(相内研) |