食の安全と経済学

みなさんは食品を買う時に何を見て買うでしょうか。カロリー,産地,価格等,様々な視点があると思いますが,何を重要視するかは購入者の背景や時事によって変わってきます。その中で,「食の安全」を重要視する消費者の声は,2000年頃から高まったというようにいわれています。ここで,一旦立ち止まって考えなければならないのは,多くの消費者が求めてしまう「完全な安全」はありえないということです。もちろん,わが国で販売されている食品は,法等に基づき安全ですが,いわゆる「ゼロリスク」というものがこの世にない以上,完全を求めることはできません。そこで,食品を作る生産者(または法や基準を作る設計者)と食べる消費者の安全に対する考え方の乖離が発生します。人間の心理にも係るこれらの乖離は,経済的に望ましいものではなく,埋めていかなければならない問題なのです。

この文を書いた人 窪田 さと子 准教授
所属 研究域/環境農学研究部門/農業経済学分野/農業経済学系