ニワトリ

ニワトリは実に多様な生き物です。鶏肉産業で用いられるブロイラーは,短距離走の選手のように,短期間で爆発的な成長を見せます。一方,鶏卵産業で用いられるレイヤーは,長距離走の選手のようにスリムで,長期にわたって卵を生産してくれます。その他には,オナガドリのように尾羽が長く伸びるもの,大シャモのように大きな身体で攻撃的なもの,チャボのように小さく可愛らしいもの等,愛玩や観賞目的に飼育されてきた品種が世界中にたくさん存在します。これらのニワトリは,大昔に野生動物から家畜化された後に,長い年月をかけて様々な形態や生産性等の特徴を示すようになったと考えられています。ゲノム解析を行うことによって,どのような遺伝子群が形態や生産性の特徴に関係しているのかを明らかにすることが可能です。世界で500を超えるニワトリ品種の多様性は,遺伝学の貴重な研究材料となります。調べれば調べるほど,ニワトリの潜在能力の高さが明らかになってきて,とても奥深い生き物と言えます。

この文を書いた人 後藤 達彦 助教
所属 グローバルアグロメディシン研究センター/農畜産学研究部門研究域/生命・食料科学研究部門/家畜生産科学分野/生命科学系
関連リンク 後藤達彦研究室