種子はコメ、コムギなど主要な穀物であるだけでなく、その他の作物を育てる場合の出発材料でもあります。種子の眠りと目覚めを様々な条件下で生理・分子レベルで解析し、そのしくみを適切に制御することによって気候変動でうまく発芽できない種子を助けられないか、また先端のバイオテクノロジーを使って種子の目覚めをコントロールできないかを研究中です。
種子はコメ、コムギなど主要な穀物であるだけでなく、その他の作物を育てる場合の出発材料でもあります。種子の眠りと目覚めを様々な条件下で生理・分子レベルで解析し、そのしくみを適切に制御することによって気候変動でうまく発芽できない種子を助けられないか、また先端のバイオテクノロジーを使って種子の目覚めをコントロールできないかを研究中です。
「いもち病おたく」と自他共に認める病原菌好きです。ある種の病原体に効く抵抗性品種を作ったとしても、変異していくことでその抵抗性品種が効かなくなることがあります。まさにイタチごっこです。そこで、病原体の変異そのものの法則を知ることで根本的かつ迅速な対抗手段を見つけようとしています。
日本ではアズキはダイズに次ぐ2番目に重要な豆類で、その約60%は十勝地域で生産されています。私達はアズキの安定生産に必要な種々の農業形質について遺伝解析を実施しています。また、収穫ロスの軽減した機械化栽培体系の確立を目指した草型改良に関する研究や早生アズキ品種開発のための開花関連遺伝子の探索と選抜マーカーの開発も行っています。
高収量かつ環境負荷の少ない農業を実現するためには、土壌固有の養分や水分の保持力を把握し、適正な栽培管理をすることが大変重要です。私達は地質学的な知見を考慮しながら、その土地の成り立ちを解明し、地域ごとの土壌の物理性、化学性の状態を明らかにし、その地域で利用できる作物栽培システムの構築を目指しています。
冬の寒さが厳しい北海道のワイン用ブドウ栽培では、しばしば凍霜害が発生し、ブドウの収量が低下したり、酷いときにはブドウの木が枯死することもあります。私達は、ブドウの凍霜害発生機構や季節的な耐寒性変化が起こるメカニズムを調べ、北海道の環境に適した凍霜害対策の確立を目指しています。
植物や動物の病気の多くは、昆虫を介して伝搬されます。これまで、このような媒介性害虫を防除することで動植物の病気を抑制してきましたが、殺虫剤抵抗性の発達により媒介性害虫の防除が困難になりつつあります。私たちは、生物防除や生物学的栄養強化などの方法を用いて、病原体を運べない昆虫や環境を作り出せないか研究を進めています。このように応用昆虫学の視点から「食」や「命」を守ることに貢献することを目指しています。
作物の生産を支える土壌を対象に、肥料を加えるばかりの「足し算」の方法から、土壌の潜在能力を引き出す「掛け算」の方法を研究しています。土壌の変化は周辺の水圏や大気圏などの生態系にも影響を及ぼします。人と自然が共生していくためには自然に対して負荷をできるだけ最小限に留め、かつ安全で高品質な食糧生産を持続する方法を見つけることが重要です。
バレイショの野生種には病気や害虫に強い性質を持った種や、色や形や味などとても変わったものが多く存在しています。しかし、その価値を品種改良になかなか活かせていません。そこで、野生種の持つ有用な形質を栽培種へ導入する研究をしています。また、収量やデンプン含量と関連がある遺伝領域を探し、遺伝子のレベルから農業形質の向上を目指しています。
十勝地方では、古くからコムギ、甜菜、豆類、馬鈴薯の4つの作物を基幹とした安定的な輪作が行われていました。一方で、これらの作物に加えて新たな作物を栽培したいと考える農家も少なくありません。私達の研究は、世界中に存在する作物の中から、利用価値が高く、経済的な利益をもたらしそうな品種を見つけ出し、十勝への導入を試みようというものです。
自然生態系で虫が作物を食べることは自然なことです。人間の都合で化学農薬や遺伝子組み換え植物を導入してきましたが、環境に負荷を与えていることは否めません。そこで自然に存在する天敵微生物を用いて病害虫の被害を防ぐ生物的防除を研究し、病害虫を退治するのではなく病害虫と共生できるような農業生態系を目指しています。
北海道は私達が日常食している主な作物の栽培北限でありながら、日本の食糧基地でもあります。この栽培限界地域での安定的な作物生産は日本の死活問題です。私達は、寒冷地に適した品種改良に必要な遺伝子探索を行い、環境や天候に強く、効率的に育つ作物開発の研究をしています。また、アレルギー疾患の人も食べられる作物のアレルギー低減化も目指しています。
家畜のふん尿や生ゴミは作物育成に有効な有機肥料になります。しかし、不適切に管理すると逆に環境汚染の要因となってしまいます。そこで、適切なふん尿資源化と持続可能な循環システムを開発し、技能や技術を根付かせることも視野に入れた「環境と人にやさしい酪農体系」を構築したいと考えています。
北海道でトラクタが導入されて約60年が経過し、農業機械の発達によって十勝の農業は我が国をリードする最先端の大規模農業に発展してきました。しかし、急速な少子高齢化による労働力不足は深刻で、大規模農業を維持、発展させるには無人トラクターのようなロボット技術を導入していくが一つの解決策だと考えています。
植物は自身に適した植物共生菌(カビ、きのこのなかま)が生息しないところでは、成長することができません。これらの共生菌は、新しい植物が定着する前から胞子などの形で土壌中で植物が来るのを待っており、根などに共生して無機養分を吸収して植物の成長を助けています。このような植物と菌類の共生関係を観察し、森や耕作地の土壌で起きている生態と環境変化の関係を明らかにします。
日本で食べられているパンのほとんどは外国産小麦で作られいて、パンに合う国産小麦はなかなか生産されませんでした。しかし、ここ数年で次々と高品質な国産小麦が作られるようになり、遂に100%国産小麦のおいしいパンが市場に出るようになりました。私達は国産小麦の品質特性や加工方法などを研究し、国産小麦のおいしいパンを応援しています。
反芻家畜は微生物の力を借りて草を消化する際、メタンガスを生成しゲップとして大気中に放出します。食べたエサの10%程のエネルギーがこのメタンとして、牛乳や肉生産に使われないまま失われます。またメタンガスは二酸化炭素の25倍地球温暖化に及ぼす影響は大きいです。エサを工夫してゲップのメタンを減らし、エネルギー損失や地球温暖化を防ぐことを目指します。