きのこ

きのこはカビの仲間です。たまに地面や樹木の幹から生えてきますが,そのきのこを作る菌糸は,土や植物の体の中で,一年中活動をして生態系の中で役に立っています。よく知られる働きは,死んだ植物の体(落ち葉や枯れ枝や幹)を分解することです。地球上の陸上では,沢山の植物が生活していて,それらが毎年沢山枯れて地面に落ちますが,これらはセルロースやリグニンという非常に壊れにくい物質で構成されています。このセルロースやリグニンを効率良く分解出来る生き物がきのこの仲間です。なので陸上生態系ではものすごく沢山の菌類の菌糸が存在することが判っています。ところが,きのこの仲間の多くが,この分解をせずに生きていることも判っています。それらは,生きた樹木根で相利共生関係を結んで栄養のやり取りをして暮らしています。マツタケやトリュフやポルチーニ等の美味しくて有名なきのこはこの仲間です。このようなきのこの仲間達は植物の生活と深く関わっているのですが,さまざまな生態系での働きは,まだ不明なことが多く,興味深い存在です。

この文を書いた人 橋本 靖 准教授
所属 研究域/環境農学研究部門/環境生態学分野/環境生態学系