「産業動物」と呼ばれる牛や馬たちは、人間のために牛乳や肉、娯楽を提供してます。彼らの生産寿命を伸ばすべく、疾病の詳細な情報の収集、治療に対する反応の評価などを通じて、より有効で安全な治療法の確立を目指しています。
「産業動物」と呼ばれる牛や馬たちは、人間のために牛乳や肉、娯楽を提供してます。彼らの生産寿命を伸ばすべく、疾病の詳細な情報の収集、治療に対する反応の評価などを通じて、より有効で安全な治療法の確立を目指しています。
乳生産における最大の危害とは、牛乳に病原微生物や抗菌性物質などの異物が混入することです。病原微生物の感染によっておこる乳房炎は、これらの異物混入のリスクを格段に高めます。私達は乳房炎原因菌の簡便で迅速で正確な同定手法の確立や、抗菌性物質の慎重な使用法、また、乳房炎をコントロールする効果的な手段の開発に取り組んでいます。
妊娠末期の牛は胎子の急成長でルーメン(第一胃)が圧迫されて採食量が落ち、胎子や乳腺へのエネルギー供給のために異化代謝に変化してしまいます。過度な場合は、生まれてくる子牛にも分娩後の母牛にも悪影響を及ぼします。そこで、迅速な対応ができよう血液性状などから異常をリアルタイムで判断できる方法を研究しています。
実はウシなどの反芻動物・草食動物は自身には草を消化する能力がありません。お腹の中に生息している膨大な数の微生物が食べた草を分解・発酵し、栄養素に変換しています。これらの微生物のバランスが崩れると代謝性疾患を起こし、消化や栄養の吸収が円滑に行えません。私達は動物の消化機能として微生物の最適なバランスを探求しています。
乳酸菌は糖を代謝して乳酸を菌体外へ分泌する能力を持ちますが、その中には多くの糖を連結した「細胞外多糖」を生産する菌がいます。インドの伝統的発酵乳「ダヒ」などから発見されていて、様々な生理機能性や物性が期待されています。私達は細胞外多糖の化学構造や物性を明らかにし、乳酸菌の新たな利用技術を開発し、食品産業の振興に貢献したいと考えています。
ヨーグルトなどの乳酸発酵食品やバター、チーズなどの発祥や伝播する歴史を追っていくと、そこには大陸に広がっていく人と家畜の暮らし方や食文化の系統が見えてきます。それほど人類と乳文化の関係は深いのです。さらに乳に依存していなかった日本で乳文化がどのように伝搬し、日本食と融合してきたのか研究を進めています。
農業経営は天候や災害、作物や家畜の病気といった自然環境のリスク、政策変更や価格変動、経営者の健康リスクなど様々なリスクに対処する“リスクマネージメント”の必要があります。私達は今の畜産業の経営に合った共済制度や保険制度の見直しを海外の事例などと比較しながら研究しています。
ヨーグルトやチーズなどの発酵食品の発酵過程で利用される乳酸菌は、漬物、みそ、しょうゆ、お酒などに使われている乳酸菌と同様に、人々の身近なところに生息しています。私達は安全でおいしい食品の製造につながるような新しい乳酸菌の株を地元で探索し、地域の特色ある加工食品を創出したいと考えています。
できる限り快適な環境で飼育することでストレスや疾病を減らし、家畜の暮らしをよくすることをアニマルウェルフェアと言い、取り組む生産者が増えてきています。従来のように家畜の生産性や生産効率だけを追求するのではなく、良質な飼料や水、飼育環境を整え、健康に飼うことが、新しい価値になるように研究をすすめています。