種子はコメ、コムギなど主要な穀物であるだけでなく、その他の作物を育てる場合の出発材料でもあります。種子の眠りと目覚めを様々な条件下で生理・分子レベルで解析し、そのしくみを適切に制御することによって気候変動でうまく発芽できない種子を助けられないか、また先端のバイオテクノロジーを使って種子の目覚めをコントロールできないかを研究中です。
種子はコメ、コムギなど主要な穀物であるだけでなく、その他の作物を育てる場合の出発材料でもあります。種子の眠りと目覚めを様々な条件下で生理・分子レベルで解析し、そのしくみを適切に制御することによって気候変動でうまく発芽できない種子を助けられないか、また先端のバイオテクノロジーを使って種子の目覚めをコントロールできないかを研究中です。
食料の安定供給・食の安全確保・感染症の制御は、21世紀に解決すべき重要課題です。動物の感染症を制御できれば、動物の健康確保を通して動物由来食品の安定供給につながります。また、病原体の多くは動物から人へ感染します。動物の段階でそれら感染症を制御できれば、動物から人への直接感染のみならず、動物由来食品を介した感染も防ぐことができるのです。
原虫病、とくにトリパノソーマ原虫を追って世界各地を調査してきました。得られた情報や原虫を使って、いまだにワクチンや安全な治療薬のないトリパノソーマ症をいかにして封じ込めるか、新たな診断法や治療薬、ワクチンが開発できないか、研究しています。
家畜動物に発熱や貧血などの消耗性疾患を引き起こす牛ピロプラズマ病は、世界で深刻な経済的被害をもたらしています。制圧するために私達は、分子疫学調査による実態把握、媒介者であるマダニの調査、汚染国に合わせたワクチンの開発などを行っています。また合わせて国際的共同研究ネットワークの構築にも積極的に取り組んでいます。
実はウシなどの反芻動物・草食動物は自身には草を消化する能力がありません。お腹の中に生息している膨大な数の微生物が食べた草を分解・発酵し、栄養素に変換しています。これらの微生物のバランスが崩れると代謝性疾患を起こし、消化や栄養の吸収が円滑に行えません。私達は動物の消化機能として微生物の最適なバランスを探求しています。
ニワトリの産卵数、卵サイズ、卵殻色などの遺伝形質を決めている遺伝子機構を制御し、安定的な養鶏経営に貢献したいと考えています。また、鶏卵の味に関わる遺伝と環境要因を研究し、おいしい卵の開発も目指しています。
高収量かつ環境負荷の少ない農業を実現するためには、土壌固有の養分や水分の保持力を把握し、適正な栽培管理をすることが大変重要です。私達は地質学的な知見を考慮しながら、その土地の成り立ちを解明し、地域ごとの土壌の物理性、化学性の状態を明らかにし、その地域で利用できる作物栽培システムの構築を目指しています。
人口減少に伴う土地の放棄や温暖化対策のためのエネルギー開発など新たな局面を迎える日本では、これまでと異なった土地利用戦略が求められています。私達は、人の生活の中で如何に自然環境を活用しつつ保全するのかを検討し、生物多様性に配慮した土地利用戦略や人の生業を活かした新たな保全戦略の研究開発を行っています。
植物や動物の病気の多くは、昆虫を介して伝搬されます。これまで、このような媒介性害虫を防除することで動植物の病気を抑制してきましたが、殺虫剤抵抗性の発達により媒介性害虫の防除が困難になりつつあります。私たちは、生物防除や生物学的栄養強化などの方法を用いて、病原体を運べない昆虫や環境を作り出せないか研究を進めています。このように応用昆虫学の視点から「食」や「命」を守ることに貢献することを目指しています。
動物・人への伝播可能な人獣共通感染症は、裕福な国では根絶されていますが、貧困層を抱えた地域や国では未だ防げていません。このことは巡り巡って世界経済にも公衆衛生上も大きな影響があり、WHOは特に13種類の人獣共通感染症(NZD)を指定し対策の強化に乗り出しています。私達は医療の処方の如く経済学と獣医学をまたぐ経済疫学からの処方箋を研究しています。
植物と共生する有用微生物は、植物の生育促進や環境変動への適応能に大きく貢献しています。私達は植物への感染と共生のしくみを調べ、植物の生育や環境適応能の改良をはじめ、農産物の保存性やその付加価値の向上を目指した研究に取り組んでいます。
反芻家畜は微生物の力を借りて草を消化する際、メタンガスを生成しゲップとして大気中に放出します。食べたエサの10%程のエネルギーがこのメタンとして、牛乳や肉生産に使われないまま失われます。またメタンガスは二酸化炭素の25倍地球温暖化に及ぼす影響は大きいです。エサを工夫してゲップのメタンを減らし、エネルギー損失や地球温暖化を防ぐことを目指します。
反芻動物は反芻胃をもつことが特徴で、単胃動物とは消化・吸収の仕組みが違い、そのため代謝ホルモンの作用などメカニズムも大きく異なります。そこで各種代謝ホルモンの測定技術を開発して代謝メカニズムの違いを把握することで、家畜の成長促進をはじめとした効率的な飼養システムを構築しようとしています。