微生物は,「顕微鏡でしか見ることができない微小な生き物」と定義されていて,私たちの肉眼ではほとんど見ることができない小さな生き物です。土壌1g中には10の5〜8乗程度の微生物が住んでいると言われていますが,その数は植物根に近いほど高い傾向にあります。微生物が保持する養分量は,畑作物が1作期間内に吸収する養分量に匹敵するほど豊富だと考えられているので,植物は微生物で育まれている,と言っても過言ではありません。近年,植物と相利共生関係を持つ共生微生物集団は「アグリバイオーム」と呼ばれ,植物の生育促進や病害防除に大変有用であることがわかってきました。共生微生物で植物を健康に育むことにより,安全・安心な食の生産とその高付加価値化が期待されます。環境に優しい農業・食の生産を考える上で,共生微生物は重要なキーワードの一つになると思います。
この文を書いた人 | 大和田 琢二 教授 |
---|---|
所属 | 研究域/生命・食料科学研究部門/食品科学分野/食品機能学系 |