令和6年(2024)10月29日から31日の3日間,ラオス人民民主共和国ビエンチャン(会場はラオス国立パスツール研究所とラオス熱帯医学公衆衛生研究所の会議室と実験室)において,令和5(2023)年度研究拠点形成事業「アジア型住血吸虫症の排除に向けた南南・三角協力拠点の構築」の第二回国際会議を開催いたしました。会議には,フィリピン,ラオス,カンボジア及びインドネシアから同事業参加国の代表ら12名,オブザーバー国となる韓国,台湾及びタイから事業関連の研究者ら4名,WHO SEARO(WHO東南アジア地域事務局)ならびに日本国内の同事業参加研究者ら8名の,合計24名が参加いたしました。また,会議の内容はオンライン配信され,ラオス現地の関係者や,この企画に興味を持つ関係国の専門家や研究者らにも広く公開されました。会議では,各国でのアジア型住血吸虫症の排除に向けた取り組みについて情報を交換するとともに,集団投薬(MDA)の効果を評価するための有病率のモニタリング手法(診断法)の不備など共通の問題点についての認識が共有されました。また,WHO SEAROの顧みられない熱帯病(NTD)対策専門官による,アジア型住血吸虫症の排除に向けたWHOの戦略と対策の現状についての概説ならびに,ラオス及びケニアで住血吸虫症対策をテーマに展開中のSATREPSプロジェクトの代表研究者による関連情報の提供も行われました。会議初日には「環境DNA分析法の感染症対策への応用」をテーマとした,技術移転ワークショップも開催されました。会議の成果として,アジアからの住血吸虫症の排除に向けた関係諸国の協調を継続する目的で,South-East Asia Schistosomiasis Elimination Surveillance Initiative (SEASEI)の設立が提唱され承認されました。
(文責: 河津 信一郎)